研究課題/領域番号 |
22K20820
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 拓也 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20782915)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大腸癌 / 腫瘍微小環境 / 大腸癌肝転移 / OPG / osteprotegerin |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境が癌の浸潤・転移に深く関与するが、その分子生物学的機序は不明な部分が多い。一方で次々と新たな知見が得られてきているのも事実ではあるが、その知見を元に新規治療薬を開発し臨床応用するまでは膨大な時間と費用がかかる。そのため、臨床使用されている既存の薬剤の適応応用も重要である。我々は大腸癌ではサイトカインのOsteoprotegerin(OPG)に発現変化を認めることを同定した。本研究では腫瘍微小環境でのOPGに着目し、①大腸癌肝転移におけるOPGの腫瘍微小環境での免疫系細胞との分子作用機序を解明し、②OPGと類似作用を示す抗RANKL抗体の大腸癌肝転移の抑制効果を検証する。
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研究成果の概要 |
骨代謝を調整する因子Osteoprotegerin(OPG)の、大腸癌肝転移巣の腫瘍微小環境での機能を解析した。TCGAを用いた解析では大腸癌におけるOPG発現低下と予後が相関することが分かった。当院の大腸癌患者の免疫染色を用いた解析では、大腸癌原発巣でOPGが低発現を来している群で有意に肝転移が多く、原発巣でOPGが高発現のものでも肝転移巣ではOPG低発現となっているものが多く、OPG発現低下が肝転移の原因となっている可能性が示唆された。大腸癌肝転移マウスモデルを作成し、OPG低発現株は高発現株より肝転移を来しやすく、またその肝転移は抗RANKL抗体で抑制できることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本人の半数が癌に罹患し、死亡の1/3が癌死と言われる時代において、癌の新規治療法の開発は社会的意義が大きい。しかし、新規抗がん剤開発には膨大な投資が必要となり、その結果新規抗がん剤は高価なものとなる。そのため既に臨床使用されている既存の薬剤の適応応用(drug repositioning)も、新規治療法開発の観点では重要となる。本研究では骨転移の治療薬として既に広く臨床使用されている抗RANKL抗体が大腸癌肝転移のなかでもOPG低発現大腸癌においては有効となる可能性が示された。
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