研究課題/領域番号 |
22K20826
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 聡 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90965237)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 十二指腸液 / 細胞外小胞 / microRNA / 膵癌 / 早期診断 / エクソソーム / 胆道癌 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
胆汁中および膵液中にexosomeが安定して存在することは報告されているが、胆汁と膵液が混在する十二指腸液中にはexosomeの存在はまだ報告されていない。われわれは十二指腸液中からexosomeの抽出に成功し、さらに十二指腸液中のex-miRの安定性も証明することができた。十二指腸液中exosomeに内包される分子を解析することで膵・胆道癌に特異的なバイオマーカーを同定し早期診断を目指す。
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研究実績の概要 |
体液から回収した細胞外小胞中のmiRNAは癌診断のバイオマーカーとして期待されている.われわれは,低侵襲に採取可能な十二指腸液から細胞外小胞を回収し,新規バイオマーカーの探索を行った.バイオマーカー選定のために3種類の膵癌細胞株(Panc-1, MIAPaCa-2, SUIT2)と膵管上皮細胞株(HPDE)の培養上清から超遠心法を用いて細胞外小胞を回収した.miRNAを抽出しqRT-PCRを用いて発現解析を行ったところ,miR-20aが2種類の膵癌細胞株(Panc-1, SUIT2)において膵管上皮細胞株と比較して発現が増加しており,バイオマーカー候補とした.続いて,当施設でERCP/EUSを施行した34名の患者(膵癌群:27症例,良性疾患群:7症例)から十二指腸液を採取し,超遠心法を用いて細胞外小胞を回収した.miRNAを抽出しqRT-PCRを用いて膵癌群と良性疾患群における細胞外小胞中のmiR-20a(EV-miR-20a)の発現解析を行った.膵癌群において,EV-miR-20aの発現が有意に上昇しており(p=0.0025),ROC曲線を作成するとAUCは0.88であった.Cut off値を設定し診断能を評価したところ,感度 82%(95% CI; 63-92%),特異度 86%(95% CI; 49-97%)であった.早期ステージ膵癌群(Stage1/2),進行ステージ膵癌群(Stage3/4),対照群の3群に分けて解析を行ったところ,早期・進行ステージ膵癌群ともに対照群と比較してEV-miR-20aの発現が有意に上昇していたが(早期群; p=0.004,進行群; p=0.018),早期群と進行群間では有意差は認めなかった(p=0.98).以上の結果から,十二指腸液から回収した細胞外小胞中のmiR-20aが膵癌診断のバイオマーカーとなる可能性が示唆された.
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