研究課題/領域番号 |
22K20830
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
権田 将一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (40961785)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 癌温熱療法 / 磁性ナノ粒子 / 抗体薬物複合体 / 筋層浸潤性膀胱癌 / 筋層浸潤性膀胱癌、 |
研究開始時の研究の概要 |
膀胱浸潤性膀胱癌に対して膀胱温存を可能にする新たな治療を確立するため、癌温熱療法と抗ネクチン4モノクローナル抗体を利用した抗癌剤であるエンホルツマブ ベドチン(Enfortumab vedotin: EV)を利用する。まずは超常磁性酸化鉄ナノ粒子とEVを結合させ、マウス膀胱癌細胞株に対して細胞毒性の評価に加え癌温熱療法を組み合わせた際の抗腫瘍効果を評価する。 まずは光学顕微鏡と走査型および透過型電子顕微鏡を使用してin vitroでの評価を行う。その後筋層浸潤性膀胱癌モデルマウスを作成、24時間後にsacrificeして、肉眼的・病理組織学的にin vivoでの評価を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「筋層浸潤性膀胱癌に対して膀胱温存を可能にする新たな治療の開発」である。 筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)に対する標準治療は膀胱全摘術であり、尿路変向によって著しく生活の質を低下させてしまう。そのため、これまで膀胱温存を目的とした様々な治療法が試みられてきた。しかしいずれも標準治療とはいえず、新たな膀胱温存療法の確立が社会的に急務であると考えられている。私たちはこれまでに、磁性ナノ粒子と交流磁場を用いた固形癌に対する癌温熱療法の有用性を報告してきた。ところがこれまでの癌温熱療法では、磁性ナノ粒子が癌細胞に特異的に結合しないという弱点があった。そこで、特異的に癌細胞に結合する抗体を含む薬剤を磁性ナノ粒子に付加させることで、標的脂向性を持たせることができると考えた。それにより癌細胞への磁性ナノ粒子の結合率が上昇し、癌温熱療法の治療効果の増強につながると期待した。加えて薬剤自体による効果が組み合わさることで、さらなる治療効果が得られると考えた。 使用する抗体薬物複合体はエンホルツマブベドチンに決定した。これはヒト膀胱癌で過剰に発現しているネクチン4という細胞接着分子に対して特異的に結合する抗ネクチン4モノクローナル抗体である。そしてその一部に微小管を破壊し細胞死を引き起こす薬剤が結合しており、現時点で筋層浸潤性膀胱癌に対して唯一臨床で使用されているものである。磁性ナノ粒子には、他のADCと結合させたという報告のある超常磁性酸化鉄ナノ粒子を利用することとした。 現在筋層浸潤性膀胱癌モデルマウスの作成を行っている。先日モデルマウスの臓器の切り出しを終え、ホルマリンで固定しているところである。 また酸化鉄ナノ粒子に対する抗体薬物複合体の付加については、エンホルツマブベドチンの購入は済んでおり、研究指導者とともに作成方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス関連の業務が増え、研究に専念する時間が減ってしまったことが大きな要因である。 また筋層浸潤性膀胱癌モデルマウスの作成のための動物実験計画書の申請・認定に時間がかかったこと、本研究で使用予定のエンホルツマブベドチンの購入に時間がかかってしまったことも進捗が遅れた原因としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は①エンホルツマブベドチンを結合させた酸化鉄ナノ粒子の作成と②筋層浸潤性膀胱癌モデルマウスの作成を並行して行う。具体的には①は10月まで、②は6月までに終える予定である。ともに作成が終わり次第動物実験を開始する。研究を遂行する上での課題としては①では超常磁性酸化鉄ナノ粒子の作成自体が困難である可能性がある。その際は別の磁性ナノ粒子を使用して作成を試みる。また、②ではうまく筋層浸潤性膀胱癌モデルマウスの作成ができない可能性があげられる。その際の対策として、トリプシンへの曝露時間を15分から30分もしくは1時間に延長する、もしくは癌細胞への曝露時間を50分から延長することで、筋層へ癌細胞が到達しやすくする。
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