研究課題/領域番号 |
22K20835
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 裕平 自治医科大学, 医学部, 助教 (40962642)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / DNA脱メチル化異常 / 循環腫瘍細胞 / 循環腫瘍DNA / DNAメチル化 / 染色体不安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ゲノムプロファイリングの質的向上を目指し、血中循環腫瘍細胞(CTC)を利用 するものである。 組織検体や細胞株の検討から蓄積された「脱メチル化異常を介した染色体不安定性」というゲノムの変化をCTCで検証し、膵癌患者における潜在的な転移の有無や悪性度の評価から治療方針決定、さらにリアルタイムなモニタリングの臨床的意義を評価する独創的かつ実臨床でも有用な研究である。
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研究実績の概要 |
これまで、当教室ではエピゲノム異常と染色体不安定性、発癌という一連の経路に着目し、遺伝子異常、遺伝子修飾異常をゲノム全域に渡って包括的に解析してきた。ゲノム全域に広がる反復配列の異常低メチル化に目を向け、段階的に進むDNA脱メチル化異常が胃癌、大腸癌の発癌過程に深く関わっている事を示した。 また、DNA脱メチル化異常と染色体不安定性、転移との関係に着目し、膵癌細胞に異常低メチル化を導入することで染色体不安定性を誘導することに成功し、その結果、これらの細胞は浸潤性の高い表現型に変化することを実験で明らかにした。さらに、臨床検体を用いた検討で、異常低メチル化の程度が膵癌患者のoccult metastasisの有無、及び生存期間を予測するバイオマーカーになりうることを明らかにした。 一方、当研究室では、腫瘍のゲノムプロファイルの進展・転移、治療の過程における変化を捉えるために、各種癌種における循環遊離DNAに注目し血中モニタリングを行ってきた。これまでに食道癌、胃癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、大腸癌、乳癌の術前及び化学療法を行った患者の血漿検体を収集し、デジタルPCRを用いてKRAS血中モニタリングを行ってきた。大腸癌では治療効果判定のみならず、感受性回復を示す薬剤の再導入の指標としての臨床的意義を明らかにした。さらに原発巣と転移巣のKRAS statusの解離に注目し、KRAS statusに基づく新たな治療介入方法(転移巣は切除し原発巣は化学療法など)の可能性を示した。膵癌では、手術群、非手術群の両群においてモニタリング中の循環腫瘍DNA出現は予後不良因子になることを明らかにした。 現在、更なるゲノムプロファイリングの質的向上のため血中循環腫瘍細胞(CTC)を利用した検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌患者を対象として、CTCのモニタリングからゲノム情報を蓄積し、これを、組織材料、ctDNAから得られるゲノム情報と比較して、転移・浸潤、再発・予後等の臨床情報を元にCTCモニタリングの有用性、実用性を評価することを目的とし研究を進めている。 現在までに、当科で手術または抗癌剤治療を施行した膵癌症例からの解析において、組織材料からは各症例のDNA脱メチル化異常を評価し、ctDNAの解析では、デジタルPCRを用いて各症例のKRAS遺伝子変異を評価した。 CTCに関して、当初、研究解析に耐えうる質・量のCTCを安定して抽出するための準備実験(条件検討や評価基準の設定等)に時間を費やした。CTC抽出精度の評価のため、データのある既存細胞株(HCT116, HT29, NUGC4, H111TC, MKN7等)を用いて解析、検討を行い、現在臨床検体からの抽出に着手しているところである。このため、CTC抽出及び解析の部分で、予定より研究進捗がやや遅れていると判断している。 今後安定したCTC抽出を行い、脱メチル化異常やKRAS遺伝子異常の解析、評価を追加しゲノム情報を蓄積し、先の組織材料、ctDNAの解析結果と合わせて、転移・浸潤、再発・予後等の臨床情報と比較し、CTCモニタリングの有用性、実用性を評価していく。
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今後の研究の推進方策 |
①組織材料の検討:1. DNA・RNAの抽出:主病巣、遠隔転移を含めた切除検体、非切除症例における生検検体のDNA・RNA抽出。2. KRAS遺伝子の変異検索(DNA): KRAS遺伝子の変異検索をRASKET法により行う。3. セントロメア関連遺伝子発現・蛋白発現の評価:SatAの発現解析(RNA)、セントロメア蛋白(CENP-A)の発現解析及び免疫染色。4. 脱メチル化の評価: MethyLight法にて、縦列型の反復配列であるSatellite α、LINE、Aluを用いて相対的なDNA反復配列脱メチル化レベル(RDL)を算出。5. DNAメチル化異常の網羅的検索:我々が開発したMS-AFLP法を用い、ゲノム中のCG領域のDNAメチル化及び脱メチル化異常を網羅的に検索。 ②循環腫瘍DNAの抽出と解析:1. DNA抽出。2. ctDNA の標的遺伝子解析: BioRad社のDroplet Digital PCRを用いてKRAS遺伝子をはじめとする遺伝子変異の定量化。3. 循環腫瘍DNAの網羅的解析:ctDNA遺伝子パネル(AVENIO)を用いて197遺伝子の網羅的解析。 ③循環腫瘍細胞の回収と解析:1. CTCの回収:マイクロ流路チップソーティングシステムでCTCの回収。2. CTC遺伝子パネル:回収したCTCは全ゲノム増幅を行ったのちに、遺伝子パネルを用いて409の癌関連遺伝子のゲノムプロファイリングを行う。3. タンパク発現の検出:CENP-Aの発現から染色体不安定性を評価する。またVimentin、ZEB1、SNAL、KLF8の発現から転移浸潤に関わる上皮間葉系移行を評価する。4. メチル化レベルの解析:反復配列であるLine-1とsatelliteαを標的とし、メチライト法を用いて行う。5. 顕微鏡での細胞の観察:CTCの数、クラスター形成から生物学的悪性度を評価。
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