研究課題/領域番号 |
22K20838
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 一般社団法人AIM医学研究所 (2023) 東海大学 (2022) |
研究代表者 |
工藤 海 一般社団法人AIM医学研究所, 研究部門, リサーチフェロー (60967165)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脂質代謝 / 過酸化脂質 / Ferroptosis / 悪性リンパ腫 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍細胞は細胞内外の複雑な脂質の流れ・組成を統御することが知られているが、その分子機序や機能の詳細は不明である。これまでの研究成果より一部の悪性リンパ腫細胞においては、細胞外脂質の輸送体タンパク「FATP2」の発現が減少し、これによって膜の脂質過酸化が原因となって誘導される細胞死「Ferroptosis」への耐性を獲得し腫瘍の生存を促していることが明らかとなった。本研究ではこのFATP2発現調節機構の解明と、腫瘍細胞の脂質組成制御の破綻による新規治療戦略基盤の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
腫瘍細胞は自身の生存に有利な微小環境を構築ために細胞内外の脂質組成を統御することが知られているが、その分子機序や生物学的意義等の詳細は不明である。本研究では、腫瘍細胞が炎症惹起性脂質であるアラキドン酸(AA)のトランスポーターであるFATP2の発現調節を介して細胞内AA量を減少させることでFerroptosisへの耐性を獲得し、腫瘍の成長を促していることが明らかとなった。またTCGAの公共データベース解析と異種移植モデルの解析より、膠芽腫やメラノーマのような予後不良の癌においても上記細胞外脂質の流入制御機構が腫瘍増生に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかとなった悪性腫瘍の持つ脂質制御機構の一つであるFATP2の発現量は、リンパ腫のみならず多くのがんにおける予後予測マーカーとなり得る可能性が示された。今後は悪性腫瘍や過活動状態の免疫細胞を標的とした本分子の発現誘導法やリポソームを用いたアラキドン酸輸送法の検討を通じて、より副作用の少ない新規治療戦略の開発へと繋がることが期待される。
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