研究課題/領域番号 |
22K20840
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
吉田 健一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (50738226)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 正常血液細胞 / 体細胞性変異 / 血液細胞 / 全ゲノム解析 / 血液 |
研究開始時の研究の概要 |
がんは遺伝子異常により起こる疾患であるが、正常組織においても遺伝子異常が加齢や環境因子により蓄積しており、発がんの直接の原因として知られているドライバー遺伝子変異も獲得されていることが様々な組織について報告されている。従って、早期の発がんメカニズムの解明には腫瘍を発生する以前の正常組織における遺伝子異常を理解することが重要である。本研究では正常血液細胞について、単一細胞由来造血コロニーから採取したDNA検体を用いて全ゲノム解析により正常血液細胞にみられる遺伝子異常を解析し、蓄積するゲノム異常と飲酒や喫煙などの環境因子との関係や人種による特徴、さらには造血器腫瘍の発症との関係を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では正常な血液細胞に遺伝子変異が蓄積する原因を解析し、さらに年齢や飲酒、喫煙などの環境因子との関連を調べることにより、血液腫瘍の発症機序を明らかにすることを目的として研究を行った。検診受診者100名から末梢血検体を収集して、喫煙歴、飲酒歴、年齢などの情報から解析する症例を選定した。臍帯血1検体および検診受診者11例から174個の造血コロニーを作製して全ゲノム解析を行なった。その結果、正常血液細胞では1年間に約14個の変異が蓄積していると推定され、これは過去の欧米からの報告と概ね一致していた。一方、遺伝子変異の蓄積量には個人差がみられ、生活歴と関連している可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では日本人の正常血液細胞における加齢や環境因子による体細胞変異の蓄積の全貌が明らかになったが、このデータは今後全ゲノム解析などにより日本人における骨髄性腫瘍の発症の機序を明らかにする上で重要なデータとなると考えられる。また、本研究で健常人から得られたデータは今後、様々な造血器腫瘍に対するがん感受性を有する疾患における血液細胞の研究においても重要なコントロールデータとなると考えられ、学術的な意義が大きい。さらに、今後の研究で血液細胞における体細胞変異の蓄積における個人差や造血器腫瘍発症のリスクと生活習慣との関係が明らかになれば、社会的意義も大きいと考えられる。
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