研究課題/領域番号 |
22K20842
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松川 敏大 北海道大学, 医学研究院, 助教 (20963169)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | NUP98-NSD1 / 急性骨髄性白血病 / FLT3-ITD / NUP98::NSD1 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)は染色体変異や遺伝子異常などにより引き起こされる造血器疾患である。 実臨床で広く用いられているG分染法では成人AMLの約25%が正常核型を呈する。小児、成人の正常核型AMLではそれぞれ約15%、約2%にNucleoporin 98kDa (NUP98)::Nuclear receptor-binding SET domain protein 1 (NSD1)のキメラ遺伝子複合体 (図1)が検出される。 本課題は、ヒト検体を用いて予後不良のNUP98::NSD1白血病の発症機構を解明することにより新規治療法の開発につなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、北海道白血病ネットで集めた検体の中から、PCR法にてNUP98-NSD1陽性の成人急性骨髄性白血病検体を見つけ、NUP98-NSD1のクローニングを行った。当初、NUP98-NSD1の全長をクローニングすることを計画していたが、NUP98-NSD1は5700bp程度と非常に大きいため、全体を一辺にクローニングを行うことは困難で合った。そこで、全長の前半部分と後半部分に分けてクローニングを行い、まず前半部分をPCRで増幅した後、ベクターを制限酵素で切断し切断部分にNUP98-NSD1の前半部分を挿入し、形質転換後にプラスミド抽出を行った。後半部分に対しても同様の手法を用いて後半部分をPCRで増幅し、ベクターを制限酵素で切断し切断部分にNUP98-NSD1の後半部を挿入し、形質転換後にプラスミド抽出を行った。その後、シークエンスで前半、後半のシークエンスを行った。シークエンスで確認すると一部に塩基置換が認められたためPCR法などにより修復を行ない、オリジナルのシークエンスが復元できた。修正した前半と後半部分を結合し、全長を確認する再度シークエンスで確認した。 出来上がったNUP98-NSD1をヒトB細胞系細胞株であるBaF3に遺伝子導入し、ピューロマイシンによる薬剤セレクションでNUP98-NSD1陽性細胞株を樹立した。 今後、FLT3-ITDの遺伝子導入を行い、出来上がった細胞株に対してNUP98-NSD1/FLT3-ITDを有する細胞株とNUP98-NSD1のみを有する細胞株に対して抗がん剤投与による薬剤耐性の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はクローニングを行いFLT3-ITDを有する細胞株も作成することにより薬剤耐性に関して検討を現在までに行いたいと考えていたが、実績にも示した通りNUP98-NSD1の全長が大きく一辺に全長をクローニングすることができず前半部と後半分に分けてクローニングを行ったことや、クローニングしたものに延期置換がありそれを修復するのに時間を要してしまった。 これらのことが要因で現在までに進めておきたいと考えていた当初の計画とは若干遅れを生じていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、当初の計画より若干遅れているが、まずは樹立した細胞株に関して基礎的なデータの解析(たんぱく発現量など)を行う。さらに、今後は樹立した細胞株に対して抗がん剤を使用することにより薬剤感受性の有無についてin vitroで検討を行う。また、同時にFLT3-ITD陽性細胞株の樹立も目指し、それらに対しても同様の手法を使って薬剤感受性について検討を行いたい。 次に樹立した細胞株に次世代シーケンサーで遺伝子発現量の変化などを網羅的、かつ詳細に解析することで薬剤耐性機構や治療抵抗性に関わる遺伝子(群)について検討を行いたい。 現在も北海道白血病ネットで北海道内全域から急性白血病検体を集めており、今後もNUP98-NSD1陽性急性骨髄性白血病検体が集まる可能性があるため、引き続きNUP98-NSD1陽性の検体がないかPCRによりスクリーニングし、陽性の検体を見つけた際には更なる解析を行なっていきたいと考えている。
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