研究課題/領域番号 |
22K20847
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
滝澤 慶一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10791957)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 尿中細胞外小胞 / 小児腎疾患 / ナノ粒子追跡解析 |
研究開始時の研究の概要 |
尿を用いて腎組織の変化を非侵襲的に捉え、疾患の早期発見や病態解明につなげたい。申請者は尿中バイオマーカーリソースとして細胞外小胞(Extracellular Vesicles :EV)に着目し研究を行ってきた。細胞は様々な特性を持った異種のEVを放出し、それらは由来する細胞の分子情報を保有する。そのため尿中EVは腎組織で生じている様々な変化を反映すると考えられる。既に解析済である尿中EVのプロテオームデータに加え、本研究ではナノ粒子追跡解析およびマイクロ流路粒子解析を行い、健常人と腎疾患患者で尿中EVの物理特性に変化があるか、病態解明、診断、重症度判定に応用できるかを検討する。
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研究実績の概要 |
国内の小児腎臓疾患を診療している8施設に協力依頼し収集した検体のうち、ナノ粒子追跡解析(NTA)に必要なサンプル量が十分確保できる20検体(健常児3例、小児CKD患者17例)を用いて、Tim4蛋白質アフィニティー法で尿中EVサンプルを精製した。405nmのレーザーと高感度のsCMOSカメラを搭載したNanoSight LM10 systemによるNTAを施行したところ、サンプルによって観測される粒子数に大きなばらつきを認め、正確な測定を可能とする適切濃度を検討の上、20サンプルの解析を完了した。ストークス-アインシュタインの関係式に基づき、個々の粒子のブラウン運動から健常児3例の尿中EVの粒子数、粒子径のデータを取得した。さらにこれらのデータを解析し、粒子のピークサイズの密度も明らかにした。得られた物理的パラメーターを用いて、健常児と小児CKD患者の2群比較を行ったところ、粒子数と粒子径には、統計的な有意差を認めなかったが、ピークサイズの密度は、小児CKD患者で有意に低下していることが判明した。さらに、尿浸透圧が粒子数、粒子径に影響を与えるという報告をうけ(Blijdorp et al.,2021)、NTAに使用した尿検体から尿中クレアチニン(uCr)値を測定した。粒子数とuCrは正の相関があり、両者は粒子径と負の相関があった。さらに、希釈尿から精製した尿中EVは濃縮尿から精製した尿中EVより、40-150nmのサイズの粒子の割合が減少し、150-1000nmのサイズの粒子の割合が増加するという結果が得られた。上記内容を含めて論文報告した(Takizawa K et al, iScience. 2022)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児尿検体から精製した尿中EVサンプルによるNTAの条件を検討し、物理的パラメーターのデータ取得が可能であることが判明した。さらに、粒子数、粒子径などの各データによるin silico解析も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ流路粒子解析による表面電位のデータ取得を目指し、小児CKDの各原因疾患による物理的パラメーターの特徴を継続的に解析する。さらに、既に取得している尿中EVのプロテオームデータを用い、粒子数、粒子径や電位と関連する発現分子変動を同定する。また尿中クレアチニンや腎機能等の臨床的なパラメーター、腎予後との関連解析も進めていく。
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