研究課題/領域番号 |
22K20853
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 祐史 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80964783)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | EEG-fMRI / 急性脳症後てんかん / AESD / 脳内ネットワーク / 脳波-機能的MRI / 小児 |
研究開始時の研究の概要 |
二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)は、感染を契機とする小児急性脳症の約4割を占める。AESDの2~3割で難治性の脳症後てんかんを発症し、焦点発作やてんかん性スパズム、驚愕発作などの特徴的な発作型を呈するが、その病態は明らかでない。脳波-機能的MRI同時記録(EEG-fMRI)は、てんかん性活動に伴う脳内ネットワークの機能異常を非侵襲的に評価できる新規モダリティである。本研究ではAESD後てんかんに対してEEG-fMRI解析を行うことで、てんかん性活動に伴う脳内ネットワークの機能異常を明らかにし、治療効果の判定に役立てることを主目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の主目的は、二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)後てんかんにおいて、てんかん活動に伴う脳内ネットワークの機能異常を同定して治療効果の判定に役立てるとともに、てんかん焦点を推定して外科治療の必要性の判断に役立てることである。 令和4年度は、AESD後てんかんを発症している5名の児と、AESDが疑われる脳症後てんかんを発症している1名の児の、合計6名の脳波-機能的MRI(EEG-fMRI)同時記録を行った。トリクロホスナトリウムを使用してEEG-fMRI記録を試みたが、4例では睡眠維持が困難であったため、残りの2例を解析対象とした。 データの解析方法としては、まずは得られたEEG記録について、解析ソフトのNetstationを用いて磁場に伴うアーチファクトや心拍や脈波に伴うアーチファクトを除去した上でEEGの判読を行い、てんかん性突発波の同定を行った。fMRI記録は、EEG上の突発波をトリガーにして生じるBOLD信号の変化を、計算ソフトのMatlab上で動作する画像解析プログラムのSPM12を用いて行った。BOLD信号変化の検出能を向上させるために、通常の解析方法に加えて、sub-second EEG-fMRI解析も行った。 2例とも、急性脳症による前頭葉の病変部に一致して陽性BOLD信号を認めた。このBOLD所見は、同時期に撮像したFDG-PETでの集積低下部位と一致しており、発作時脳波所見での発作起始とも一致しており、てんかん焦点を的確に推定していると考えられた。1例目では、陰性BOLD信号はdefault mode networkに合致する箇所に認められ、本児の知的障害との関連が示唆された。2例目では、両側視床に陽性BOLD信号を認めており、視床を介したてんかん性ネットワークの形成が示唆された。 令和5年度も、症例を積み重ねていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、当初見込まれた研究対象者数に相当する方々が、研究にご参加くださっている。睡眠剤によるEEG-fMRI記録中の睡眠維持が困難な例が多いために、解析対象となる記録数は当初の見込みより少なくなっている。令和5年度も、引き続き研究対象者のリクルートを行いつつ、睡眠維持の確率が向上するよう、試行錯誤を重ねていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も、引き続き研究対象者のリクルートを行っていく。解析結果をもとに、AESD後てんかんに共通するてんかん性の脳内ネットワークの機能異常を同定し、発作に対する治療効果との関連について検討していく。また、てんかん焦点の推定も行い、その後てんかん焦点切除術に至った症例については、切除領域とBOLD信号変化のみられた領域を比較し、術後成績との関連について検討していく。 上記の解析結果をもとに、本研究の成果を国内外の学会で報告していく。また、本研究の成果を公開するために国際ジャーナルに投稿を予定している。
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