研究課題/領域番号 |
22K20872
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
内田 貴康 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (90948085)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 1型糖尿病 / β細胞 / GAD / GABA |
研究開始時の研究の概要 |
1型糖尿病はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れてしまい、インスリンが出なくなる病気です。1型糖尿病患者さんでは高頻度にglutamic acid decarboxylase (GAD)、特にGAD65分子に対する自己抗体(GAD抗体)が検出されることが分かっていますが、GADそのものの作用やどのように1型糖尿病の発症の原因となるのかということは分かっていません。GADはglutamic acid (GA)を脱カルボキシル化して、γ-aminobutyric acid (GABA)を合成する酵素です。我々は、ヒト1型糖尿病の膵組織を用いて、膵臓の中でGABAおよびGAの動態やβ細胞の機能について検討するため、実験を行っています。
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研究実績の概要 |
剖検で得られた急性発症1型糖尿病膵、劇症1型糖尿病膵、緩徐進行1型糖尿病膵に対して、免疫染色(DAB)を行い、インスリン、グルカゴン、glutamic acid decarboxylase (GAD)、gamma amino butyric acid (GABA)の免疫染色を行った。対照となる非糖尿病膵(2名)に対するインスリン、グルカゴン、GAD、GABAの免疫染色では、膵島内で全てが陽性であった。急性発症1型糖尿病膵(5名)に対するインスリン、グルカゴン、GAD、GABAの免疫染色では、グルカゴン、GADはいずれの患者の膵島においても陽性であった。一方、インスリンとGABAに関しては、インスリンとGABAがそれぞれ陽性、陰性の4パターン全てが認められた。劇症1型糖尿病膵(1名)に対するインスリン、グルカゴン、GAD、GABAの免疫染色では、インスリンは陰性で、その他のグルカゴン、GAD、GABAは陽性であった。緩徐進行1型糖尿病膵(5名)に対するインスリン、グルカゴン、GAD、GABAの免疫染色(DAB)では、グルカゴン、GADが全ての患者の膵島で陽性であった。一方、インスリンとGABAに関しては、染色性に概ね相関のある傾向であった。インスリンが陰性、GABAが陽性の患者はいたが、インスリンが陽性で、GABAが陰性の膵島のある患者はいなかった。これまでの検討により、1型糖尿病膵においては、非糖尿病膵と比較してインスリンとGABAの発現の変化があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染症の蔓延以降の臨床業務量の増加(病欠者の代理業務や外来、入院患者の増加に伴うもの)による。また、実験を進める度に、予備実験を多数行いながら実験を進行しているため多くの時間を要しているが、新しい知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
GADに関する免疫染色に関しては、抗体濃度をかなり低下させても背景の染色が強く出ており、これが非特異的な染色か判別するための一つの方法として吸収試験を予定している。それぞれの抗体の多重免疫染色も施行したが、成功には至っておらず、様々な条件検討を行っている。それにより、各抗体の分布の位置関係が明らかになると考えている。今後は、膵島内での、インスリンは分泌していないがGADは発現している細胞の細胞特性(Metaplasia)についての検討を予定している。
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