研究課題/領域番号 |
22K20878
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 せら紀 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (00964032)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | サイコオンコロジー / 進行がん / 心理療法 / RCT / スピリチュアルペイン / うつ病 / 死に関連する苦痛 / QOL / がん / 悪性腫瘍 / ランダム化比較試験 |
研究開始時の研究の概要 |
遠隔転移がん・進行がん患者を対象とした非盲検ランダム化比較試験であり、東京大学医学部附属病院、がん研有明病院、山口大学医学部附属病院にて実施される。研究参加者はManaging Cancer and Living Meaningfully (CALM) 群と、通常の支持的精神療法群に分かれ、3~6 か月にわたり心理的ケアを受け、開始時、3か月後、6か月後に質問紙に回答する。統計学的にCALMの有効性が確認されれば、病気の進行により患者が社会的制限を受ける終末期の前の重要な時期に、抑うつ症状を含めた精神的苦痛を緩和し、QOLと精神的幸福を維持させるようなケアを日本でも提供できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
数か月にわたるミーティングを重ねた結果、より実臨床と近い形で、本研究を開始する方針となった。組み入れ基準には、ベースライン時に抗うつ薬を使用していないこと、精神科や心療内科などを受診中ではなく、心理士と個別セッションを実施していないことなどが追加された。また、比較対象群は当初、支持的精神療法も検討されていたが、CALM療法の技法のコンタミネーションを避けるため、通常ケアのみとした。 うつ症状と研究実施期間ごとに層別化、CALM介入+通常ケア群と通常ケア群を比較する形でのManaging Cancer and Living Meaningfully (CALM)の国内ランダム化比較試験を研究倫理申請中である。 RCTのアウトカムに使用する質問紙である、進行がん患者のQOLを評価するQuality of Life at the End of Life-Cancer Scale (QUAL-EC)、進行がん患者の死に関連する苦痛を評価するDeath and Dying Distress Scale (DADDS)、進行がん患者の愛着傾向を評価するExperiences in Close Relationships scale (ECR-M16)の日本語版の信頼性・妥当性を検証した国内での学会発表の計画、上記の日本語版質問紙の検証結果の英語論文の作成が進行しており、2023年4月の時点でQUALECがJournal of Pain and Symptom Managementに掲載され、DADDSが投稿中、ECR-M16が投稿準備中となっている。 協力施設であるがん研有明病院、山口大学医学部附属病院の研究責任者とRCTについてのミーティングを実施し、各施設でのManaging Cancer and Living Meaningfully(CALM)介入群に対する施行者の抽出を始めている。また、RCTに向け、実際の症例とスーパービジョンを通して、本研究に参加する心理療法の実施者3名の育成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究において、研究計画とリクルートには最も時間を要することが当初より予測されていた。 また、当初、研究責任者のプランでは、本研究はphase2と同様、実臨床での状況に近いEffective trialとして実施する予定であったが、組み入れ基準や実施可能性、リクルート方法などの審議を重ねた結果、倫理申請の提出が遅くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度、主研究機関である東京大学大学院医学系研究科倫理委員会にて、一括審査・承認を受け、リクルート開始予定である。本研究では、CALM介入+通常ケア群と通常ケア群の抑うつ、不安、QOL、愛着傾向、死に関連する苦痛を定期的に評価・比較し、6か月後の評価時点での抑うつ症状の点数を主要評価項目としている。 ①リクルート:予後が1年以上で、根治が望めない固形癌の進行がんもしくは遠隔転移がんであり、終末期ではない患者を対象とする。② ベースライン評価:患者背景の調査と、ベースライン時の評価を実施する。組み入れ基準を満たす患者は研究参加者として登録される。③ ランダム化:参加者は群内バランスを確保するため、実施施設と抑うつ症状の重症度(ベースライン時の Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)スコア)によって層別化され、順列ブロック無作為化により試験治療群(CALM+通常ケア)か対照治療群(通常ケア)にsingle-blindで割り付けられる。ベースライン時にうつ症状が中等度以上の参加者は、両群とも抗うつ薬を用いることが推奨される。④ 介入:試験治療群では、研究実施施設で通常提供される、通常ケアに加え、3~6 か月にわたり 3~6 回の CALM セッションを受ける。対照治療群の参加者は 3~6か月の間、研究実施施設での通常ケアを受ける。通常ケア群に割り付けられた患者は、6か月後の評価終了後にCALM療法を受ける機会が提供される。⑤ 評価:試験治療群は毎セッション後に、対象治療群は毎月、PHQ-9、QUAL-EC、DADDS、ECR-M16、CEQ(試験治療群のみ。CALM自体の評価アンケート)から構成される評価を実施する。⑥ データ解析:評価項目の統計学的処理により CALM の有効性を明らかにし、成果の発表をする。
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