研究課題/領域番号 |
22K20879
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村井 翔太 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任研究員 (40966107)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 音声 / 脳機能画像 / 言語 / 磁気刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)は認知の硬直性や社会疎通性の障がいを主徴とするが、一方で聴覚をはじめとした知覚に関する困難さをしばしば伴う。特に音声知覚に関して、音響的に不明瞭な雑音下において話し声が理解しづらくなることが報告されており、社会適応を難しくする要因となり得る。 定型発達者の場合、音響的に劣化した音声は、前頭皮質の関与のもと、言語音声知識から情報が補完される。本研究では、その処理過程の非定型さがASDの音声理解の困難さを引き起こすという仮説を立て、聴覚心理実験とMRIによる脳計測から検証する。さらに、脳-行動間の因果的関係について非侵襲的脳刺激法を用いて明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は自閉スペクトラム症(ASD)における音声聴取の困難さを生み出している高次脳神経メカニズムを解明することにある。
ヒトの音声知覚機能は、ノイズの多い音響的に不明瞭な状況においても、任意の音声を聞き取り、理解することができる頑健性を有する。しかし、ASD当事者はしばしばこの頑健性を失い、音声の聴き取りが困難になることが生じる。この音声知覚の困難さは成人ASD当事者においても問題であり、社会適応を難しくする要因の一つとなり得る。
このため、ASD当事者において、ノイズ成分が多い音響的に不明瞭な条件下で、複雑な言語音声はどのような神経情報機構で処理されているかについて、機能的MRIと聴覚心理実験を用いた検討を行う。 2022年度は、音声知覚を研究するための聴覚心理実験の確立および解析手法の検討を行った。具体的には、実験で被験者に提示する刺激セットの手配、刺激提示プログラムの作成、脳機能画像および構造画像撮像のためのMRIの環境準備を行った。また並行して、ASD当事者の自発的神経活動のダイナミクスを調べるための解析手法の検討にも取り組んだ。音声聴取時の脳活動計測と併せて、ASD当事者の音声知覚処理を支える脳神経系の機能的特性を検討する。さらに、実際に確立した実験系を用いて、定型発達者を対象にした実験を試験的に始めている。今後、ASD当事者、定型発達者の両群を対象に実験を遂行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音響的に不明瞭な条件下で、複雑な音声を処理する神経情報機構について、ASD当事者に特異的な処理を明らかにするため、聴覚心理実験および機能的MRIを用いた検討を行う。
2022年度は、音声知覚を研究するための実験系の確立および解析手法の検討を行うことができた。聴覚心理実験で被験者に提示する音声刺激に関しては、音声の選定や、背景雑音の付加と音声の明瞭度の調整を行った。また、刺激提示プログラムの作成や、脳機能画像および構造画像撮像のためのMRIの実験装置や撮像パラメータの調整を行った。 加えて、ASD当事者の特徴的な神経ダイナミクスを評価するため、自発的神経活動の解析手法の検討や、神経表象の可塑的変化の解析手法の検討にも取り組んだ。 実際に、ASD当事者群を対象とした実験にはまだ至っていないが、先行して、定型発達者群を対象に実験を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度確立した実験系を用いて、ASD当事者、定型発達者の両群を対象に実験を進める予定である。聴覚心理実験の行動データ、音声聴取時の脳活動および検討してきた自発的神経活動のダイナミクスの評価を合わせて、ASD当事者と定型発達者を比較することで、どのような神経機構がASD特異的な音声聴取の困難さを引き起こすのかを検討する。
さらに、これらの検討で同定された脳機能領域に対して、非侵襲的磁気刺激法(経頭蓋磁気刺激法,TMS)を用いて抑制性刺激、興奮性刺激もしくは偽刺激を与えることで、ASD特異的な神経機構と音声の聴き取りづらさとの因果的関係の精査を行う計画である。
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