研究課題/領域番号 |
22K20886
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北本 博規 京都大学, 医学研究科, 医員 (80967901)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 鉄 / マクロファージ / ヒノキチオール |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD) などの慢性炎症性疾患では、炎症による細胞内鉄の過剰蓄積がマクロファージの炎症惹起能を亢進させ、さらに炎症を悪化させる。 本研究では鉄動態異常是正作用を持つHinokitiolが慢性炎症環境下での腸管マクロファージの炎症惹起能に与える影響を検証する。本研究を発展させる事で免疫抑制治療に依らない安全なIBD治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
実験系の最初の段階として、in vitroでマウスのマクロファージ細胞株を用いてLPS刺激への反応をみる実験系でヒノキチオールの投与量を調整している状況である。しかし、通常培地での条件下ではなかなか対照群と比較して再現性のある有意な差が認められず、実験系の工夫を行っております。 生理的な条件下では細胞内鉄は最適濃度に維持されているため、ヒノキチオールを用いても鉄の移行がそれほど引き起こされないため、有意差が出ないと推測されます。 これに対して、慢性炎症下の条件を再現するために、ヒノキチオールを投与する前にヘプシジンを培地に加えてpre-treatmentして細胞内鉄を増やす工程を挟む必要があると考えており、現在ヘプシジンの濃度を振りながら細胞内鉄が一定量を超える条件を模索しており、この次にLPS刺激±ヒノキチオール投与で有意差がみられるかを検討する方針です。 マウスのマクロファージ細胞株でpre-treatmentなどの条件を確立できれば、ヒトの末梢血単核球を用いて同様の実験を行い、マウスだけでなくヒトにおいてもヒノキチオールが抗炎症作用を発揮することを確認する段階に進む予定である。 その後、IBDモデルマウスを用いたin vivoの実験系、共同研究予定である神戸大学でのヒト腸内細菌叢モデルを用いた実験系においてもヒノキチオールの有用性を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常条件下ではヒノキチオールを用いた抗炎症作用が認められず、事前に細胞内鉄が蓄積するような慢性炎症環境をpre-treatmentで再現する必要があると考えられる。 現在培地にヘプシジンを加えて細胞内鉄が蓄積する条件をヘプシジン濃度や培養期間など模索している状況であり、これが確立できればヒノキチオールの細胞内鉄減少に伴う抗炎症作用を確認する実験系に移行したいと考えております。
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今後の研究の推進方策 |
まずはマウスのマクロファージ細胞株を用いてin vitroの条件において、ヒノキオールの鉄動態の変化を介した抗炎症作用を検証する。 ヒトの末梢血単核球を用いて同様の実験系を行い、ヒトにおいてもヒノキチオールが抗炎症作用を発揮することを検証する予定である。 次にIBDモデルマウスを用いたin vivoの実験系でヒノキチオールを投与する群において腸炎が軽減することを、鉄動態と腸内細菌叢の変化の観点から検討することを予定している。 以上の実験系においてヒノキチオールの有用性が確認出来れば、共同研究予定の神戸大学においてヒト腸内細菌叢モデルを用いてヒノキチオールの抗炎症作用と安全性について検証し、実臨床への応用の可能性について探っていきたい。
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