研究課題/領域番号 |
22K20904
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
柴田 明子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (70964245)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | RTTモデルマウス / 皮質ネットワーク異常 / マクロイメージング / RabΔG経シナプストレーシング / シナプスの形態学的観察 / FingR / 発達障害 / 抑制性神経細胞 / 皮質ネットワーク / モデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
RTTは自閉症を伴う小児神経疾患であり、モデルマウスの病態にPV+細胞の機能障害が強く関与することが示されているが、特徴的な症状の原因となる回路異常については明らかにされていない。そこで本研究ではマクロイメージングによるネットワークの機能解析と、シナプス可視化による解剖学的解析を行い、皮質ネットワーク形成におけるPV+細胞の役割と、RTT病態への関与を明らかにする。さらに、新たな治療戦略に繋げることを見据え、PV+細胞をターゲットとして神経活動の介入実験を行い、RTTモデルの大脳皮質ネットワークへの影響を解析する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、Rett症候群(RTT)モデルマウスを用い、PV+細胞が皮質ネットワーク異常にどのように関わるのか明らかにし、新たな介入方法を考案することを目的としている。 課題1に関しては、4か月のRTTモデルマウスと野生型マウスを用いて、安静時暗所、運動時における皮質領域間のCaイメージングの比較を行った。 課題2①に関しては、FingRのAAV-DIO-PSD95.FingR-mNeonGreen、AAV-DIO-Gephyrin.FingR-mScarlet、DIO-TagBFP2、DIO-TagGFP2-CAAXをCamK2-Cre、PV-Cre、およびSST-CreマウスのM2領域に注入することで、各神経細胞の形態と樹状突起上におけるPSD95-FingR-mNeonGreen、Gephyrin-FingR-mScarletの観察を行った。また、免疫染色にてFingRと内在性のシナプス蛋白質との共局在を確認した。FingRの蛍光強度を維持しながら脳組織を透明化し、免疫染色でMeCP2発現細胞、MeCP2欠損細胞それぞれを識別しシナプス蛋白質を可視化するための条件検討を行った。 課題2②に関しては、2か月(発症前)、4か月(発症早期)、6か月(進行期)の異なる月齢のメスRTTモデルマウスと野生型マウスのM2にAAV-CamK2-Creを注入し、組み換え狂犬病ウイルス(RabVΔG)を用いた経シナプストレーシングを行うことで、M2錐体細胞への投射ニューロンの全脳マッピングを行い、その分布を2群間で比較した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題2②については、当初の計画調書のPV細胞ではなくM2の錐体細胞への投射ニューロンを解析を行っているが、異なる月齢のマウスを用いることで病態の進行によるトレーシング結果の変遷を解析することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
課題2①については、最適化した条件でFingRベクターを注入し、脳を透明化してRTTモデルマウスにおけるMeCP2発現細胞、MeCP2欠損細胞のシナプス形態を比較する。細胞種特異的にFingRを導入することで細胞種ごとの観察を行う。取得した画像は画像解析ソフトImarisを用いて解析する。 課題2②については、得られた結果が再現性があるかサンプル数を加えて解析を続ける。さらに、皮質layerごとの錐体細胞に対する投射ニューロンについても解析し、疾患感受性の高い皮質layerの同定も目指す。 また、課題1でモデルマウスと野生型で有意な変化があった領域に対して、課題3の介入実験を行う予定である。介入方法としては当初のchemogeneticな方法の他にAAVを用いた ヒトMECP2遺伝子導入も検討している。
|