研究課題/領域番号 |
22K20929
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0904:生体情報内科学およびその関連分野
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
馬場 隆太 広島大学, 病院(医), 助教 (00963696)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 原発性アルドステロン症 / 一塩基多型 / 高血圧 / ゲノムワイド関連解析 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は,原発性アルドステロン症の一病型であるアルドステロン産生腺腫(APA)におけるアルドステロン合成や腫瘍増殖を制御する創薬標的因子の同定を行ってきた.予備検討と他施設からのPAの臨床的・病理学的解析から,PAやAPA発症に遺伝的背景が示唆される.したがって,本研究では,PAおよびAPAの疾患感受性一塩基多型(SNP)を同定し,さらに,SNP解析結果のBioinformaticsを基盤に基礎研究を用い,PAおよびAPAのゲノム由来の発症機構の解明を目的とする.PA発症の危険因子の同定とPA発症予防法の開発に繋げ,さらには,将来のゲノム医療・個別化医療の基盤構築に繋げたいと考えている.
|
研究実績の概要 |
原発性アルドステロン症は、高血圧の原因疾患の一つであり、高血圧全体の約10%を占めると言われている。原発性アルドステロン症による高血圧は難治性であることが多く、脳卒中、心血管疾患、慢性腎臓病などを高頻度に合併する。その病態機序は不明な点が多く、特に発症に関わる遺伝的因子については十分に解明されていない。 当教室で収集した臨床検体とバイオバンク・ジャパンが保有する対照検体を用いてゲノムワイド関連解析を実施し、さらにUKバイオバンク(英国)とFinnGen(フィンランド)のゲノムワイド関連解析と統合してメタ解析を行うことにより、原発性アルドステロン症の発症に関わる6つの遺伝子領域(WNT2B、HOTTIP、CYP11B1/2、LSP1、TBX3、RXFP2)の遺伝子多型を同定した。副腎組織におけるeQTL(expression quantitative trait loci)解析とゲノムワイド関連解析の結果に対して共局在解析を適用することで、今回検出された遺伝子領域の一つであるRXFP2の遺伝子多型が副腎組織において、その発現量を上昇させることで原発性アルドステロン症の発症に関わる可能性があることを示した。さらに、高血圧に関わる既知の遺伝子領域について、原発性アルドステロン症と高血圧におけるオッズ比を比較解析することで、高血圧に関わる遺伝子領域の多くが原発性アルドステロン症由来である可能性があることを示した。 本研究によって、高血圧症の遺伝的素因に占める割合が予想外に大きい可能性があること、原発性アルドステロン症の発症に関わる複数の遺伝子領域が明らかになったことにより、病態の理解が大きく進むことが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原発性アルドステロン症の発症に関わる遺伝子領域を同定した。さらに高血圧に関わる遺伝子領域の多くが原発性アルドステロン症由来である可能性があることを示した。
|
今後の研究の推進方策 |
上記で得た結果を立証するために、PAモデル細胞株を用いた機能解析を行う。さらに動物モデルの利用により、原発性アルドステロン症発症のシグナル等の同定を試みる。
|