研究課題/領域番号 |
22K20935
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市瀬 茉里 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60954849)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 腸管機能障害 / 胎児発育不全 / 妊娠高血圧腎症 / 消化管機能 / 腸管免疫 / 神経 / 腸管機能 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児発育不全(fetal growth restriction: FGR)は、胎盤機能不全を主たる原因とし、新生児期の消化管機能障害との関連が知られている。FGRにおける腸管の組織・分子学的異常については、十分な解明がされていない。腸管免疫系の過剰反応・腸管蠕動運動低下は、FGRで生じやすい壊死性腸炎の原因とされている。近年、腸管神経・腸管免疫・腸内細菌叢のクロストークの分子機構の一端が解明され、注目を集めている。そこで、本研究は、FGRマウスモデルを用いて、腸管での神経・免疫クロストークに関する分子機構を明らかにし、腸管脆弱性に対する治療可能性を検証する。
|
研究成果の概要 |
胎児発育不全(fetal growth restriction: FGR)は、胎盤機能不全を主たる原因とし、新生児期の消化管機能障害との関連が示唆されている。今回我々は、119例の早産児のうち22例(18.5%)に腸管機能障害を認め、FGRはリスク因子をなることを示した。また、FGR・妊娠高血圧腎症を呈するモデルマウスの胎仔小腸を摘出した。FGRマウスでは、腸管の短縮・上皮分泌細胞の減少を認めた。RNAseqにより、226個の発現が異なる遺伝子が同定された。ラクトトランスフェリンをはじめとする腸管免疫や外部抗原への粘膜免疫に関与する遺伝子発現がFGRマウスでは低下していることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
早産児のうち、血流異常に長期間さらされたFGR児は、腸管機能障害のハイリスク群であることが同定され、慢性的な子宮内ストレスが出生後の腸管機能の脆弱性を引き起こしている可能性が示唆された。 また、マウスモデルを用いてFGRが腸管に与える組織・分子学的変化を検証し、FGRにより、仔の腸管発達は未熟な状態となり、出生後の食餌抗原暴露において脆弱になりやすいことが示された。PEモデルマウス腸管でラクトトランスフェリンなどの外的抗原からの保護に働く因子の発現が低下している傾向にあった。FGRにおける消化管機能障害を来す分子学的機構の一端が解明され、今後の治療戦略に寄与する可能性がある。
|