研究課題/領域番号 |
22K20937
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花井 洋人 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90964437)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
|
キーワード | エクソソーム / 間葉系間質細胞 / 肩腱板断裂 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
間葉系間質細胞(mesenchymal stroma cell, MSC)は,エクソソームを主体とする細胞外小胞(small extracellular vesicles, sEVs)を分泌し,細胞間の情報伝達を行うことで,組織修復に寄与することが知られており,運動器組織に対する再生医療としても注目を集めている.一方で,肩腱板断裂は自然治癒せず,修復手術でも再断裂をきたすことがあり有効な治療法はない.本研究の目的は,サイトカインでプレコンディショニングされたMSCから得られたsEVsが骨-腱修復に与える影響がいかに変化するかを明らかにすることである.
|
研究実績の概要 |
間葉系間質細胞(mesenchymal stroma cell, MSC)は,エクソソームを主体とする細胞外小胞(small extracellular vesicles, sEVs)を分泌し,細胞間の情報伝達を行うことで,組織修復に寄与することが知られており,腱板断裂などの運動器組織に対する再生医療としても注目を集めている.本分野において,MSCの培養条件の違いによって分泌された異なるsEVsの評価はなされていない.研究代表者は,肩腱板断裂モデルラットを用いて,IFN-γでプレコンディショニングされたMSCが分泌するsEVsが骨ー腱修復に与える影響を検討する上で,本年度に以下の成果を得た. 刺激薬剤をIFN-γに選定し,刺激濃度を振り分け,各条件におけるMSCの生存率やMSC特性を評価した.MSCの起源としては脂肪組織由来を用いた.細胞生存率はいずれの条件でも95%以上を維持することができ,一般的なMSC陽性/陰性マーカーは刺激にかかわらず変動を認めなかった.一方で,PDL-1やHLA-DRなどのタンパク質は,刺激濃度とともに発現陽性細胞率が増加した.細胞から分泌されるCD9またはCD63陽性sEVs定量評価を行ったが,CD9陽性sEVsは刺激により減少したが,CD63陽性sEVsは低濃度刺激では減少するものの,濃度依存的に増加する結果となった.また,IFN-γ刺激によりsEVs中のIDO1タンパク質発現が上昇することも判明した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を進めていくにあたって,細胞培養中のプレコンディショニング刺激条件を選定することが非常に重要となる.今年度に遂行した実験により,今後の実験を行う上で基盤となる培養条件を選定することができたため,今後は一貫する実験データの収集が可能となり,最終目標に向けて着実に進展していると考える.今後は,通常培養で得られるsEV(N-sEV)と選定した刺激条件下で得られるsEV(P-sEV)を大量に回収し,内包するmiRNの発現比較解析によって重要因子を選定したり,動物実験やin virto実験での効果検証を遂行したりする予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究予定として,ラット腱板断裂モデルを用いたsEVs投与実験を行う予定である.3ヶ月齢のオスSprague-Dawley(SD)ラットの棘上筋の遠位部を切離し,腱板を断裂させ,4週後に縫合糸を用いて棘上筋腱を上腕骨付着部に縫着し修復する.再建後より1週毎にN-sEVを関節内投与し,術後早期である再建後2週,4週時に組織学的解析,および免疫組織化学染色や蛍光免疫染色を行い,修復組織の経時的な変化が十分確認できるか検討を行う.さらに,上記で得られた結果をもとに,同様の手法にて,N-sEVまたはP-sEVを投与し,修復組織の質を組織学的解析または免疫組織化学染色にて比較し, P-sEVの有効性を明らかとする予定である.また,in vitro実験において,修復過程で関与する細胞への治療効果も評価する予定である.さらに,sEVsの内包するmiRNAとターゲット細胞中の変動遺伝子を照らし合わせることで,修復に関与する重要な因子の探索を進めていく予定である.
|