研究課題/領域番号 |
22K20952
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
新津 宏明 愛知県がんセンター(研究所), がん標的治療TR分野, 主任研究員 (60964335)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | KRAS阻害薬 / 大腸癌 / 三次元培養 / KRAS / 分子標的治療 / 3D培養 |
研究開始時の研究の概要 |
KRAS阻害剤の開発は、この数年、開発が急速に進み、多くの臨床試験が進行している。一方で、KRAS-G12C阻害剤投与後に、2次性遺伝子変異による耐性が生じることも明らかとなってきた。しかし、大腸癌において、従来の細胞株を用いた二次元細胞培養では、このような臨床像に即した獲得耐性が再現できていない。本研究では、細胞周囲に細胞外マトリックスが存在し、メカニカルストレスや細胞-細胞/細胞-ECM間相互作用などの点で生体内環境に近い、3D培養(3Dコラーゲン培養および患者由来がんオルガノイド)を用い、より生理的な培養環境下で、KRAS阻害剤獲得耐性大腸癌in vitroモデルの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
最初に、KRAS G12CおよびKRAS G12D遺伝子変異大腸癌細胞株に対して、従来の2D培養条件で、それぞれの特異的KRA 阻害薬であるソトラシブ、MRTX1133を投与し、それぞれ薬剤感受性を調査した。KRAS G12D遺伝子変異大腸癌では、ほとんどの細胞株で良好な薬剤感受性を認める一方、いくつかのKRAS G12C遺伝子変異大腸癌では、ソトラシブへの薬剤不感受性を示した。そのうち、SW837およびSNU1411細胞株、ならびに遺伝子改変マウスモデルから樹立したKRAS G12C遺伝子変異大腸癌細胞株に焦点をあて、3Dコラーゲン培養系および3Dスフェロイド培養系を樹立し、特異的阻害薬ソトラシブの薬剤感受性を、2D 培養系と比較検討した。この検討において、全ての細胞株において3Dコラーゲン培養およびスフェロイド培養で、ソトラシブの感受性がより高いことが明らかとなった。これらの細胞株における、3D培養下でのKRAS阻害薬感受性改善のメカニズムについて、メカニカルストレスおよびその関連分子に着目して、検討を進めている。 さらに、SW837およびSNU1411細胞株について、3Dコラーゲン培養下に、ソトラシブとセツキシマブの長期暴露を行い、薬剤耐性株の樹立を試みた。薬剤耐性コロニー形成に長期間を要したが、現時点でSW837についてはソトラシブ+セツキシマブ耐性株を樹立し、SNU1411も耐性化の兆候を認めている。今後、3D 培養条件で耐性株を樹立したSW837細胞株については、3Dコラーゲン培養条件から2D培養条件へ変換が可能であることも確認している。この細胞株を用い、耐性機序のメカニズム解析が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2Dおよび3Dコラーゲン培養におけるKRAS阻害薬感受性の検討は順調に進行し、2Dでソトラシブ抵抗性をきたす細胞株の同定と、3Dコラーゲン培養での感受性改善についてを示すことができている。一方で、3Dコラーゲン培養では、コラーゲン内に細胞が包埋されており、2D培養条件のように容易に純度の高いtotal RNA、蛋白質抽出が困難であった。コラゲナーゼによる酵素消化も検討されたが、酵素反応の間に細胞生物学的および分子生物学的性状の変化が危惧された。検討に時間をようしたが、最終的にtotal RNAについては、純度の高い抽出方法を確立するに至り、蛋白質についても蛍光免疫染色法による評価が可能であることを確認できた。 また、SW837およびSNU1411細胞株について、3Dコラーゲン培養下に、ソトラシブとセツキシマブの長期暴露を行い、薬剤耐性株の樹立を試みたが、その良好な感受性のためか、薬剤耐性コロニー形成に半年以上の期間を要したため、当初の計画より進捗がやや遅れている。現時点でSW837についてはソトラシブ+セツキシマブ耐性株を樹立し、SNU1411も耐性化の兆候を認めているので、引き続き解析を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
SW837、SNU1411、マウスKRAS G12C大腸癌細胞株における、3Dコラーゲン培養下でのソトラシブ感受性改善については、2D培養系との比較で、メカニカルストレス関連シグナル伝達経路、例えばHippo経路およびRac/Rho/Rock経路の評価を行う。また、3Dコラーゲン培養下ではRNA抽出法を最適化することができたが、蛋白質レベルの解析についてはより純度の高い蛋白質抽出法やその他の解析方法を確立する必要があり、現在その方法について検討中である。また、メカニカルストレス以外に感受性に影響を与える因子の有無についても、転写産物網羅的解析が必要となる可能性もあり、それも検討している。 3D培養下でソトラシブ+セツキシマブへ長期暴露して得た薬剤耐性株については、これらの薬剤の主たる標的であるKRAS下流のKRAS-RAF-ERK経路、PI3K-AKT経路のシグナル伝達経路の変調について調査する。さらに、二次性遺伝子変異獲得、転写産物網羅的解析、上皮間葉転換の有無などに焦点をあてて検討を進めていく。
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