研究課題/領域番号 |
22K20954
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 喬 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80966010)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 網膜色素変性 / リン脂質 / コリン / 網膜色素上皮細胞 / 視細胞 / リン脂質代謝 / ホスホリパーゼ / リピドミクス / 脂質代謝 / 網膜変性 / ホスホリパーゼA2 |
研究開始時の研究の概要 |
神経症状を伴う網膜色素変性症の一群において、機能が未解明のリン脂質代謝酵素PNPLA6の変異が報告されている。リン脂質の新規合成の撹乱は網膜変性をもたらすが、リン脂質の分解と合成のバランスの調節機序については定見が得られていない。申請者は、本酵素が類縁酵素の中で唯一ユニークなホスホリパーゼB反応を触媒することにより、ホスファチジルコリンからグリセロホスホコリンを遊離して下流のコリンの遊離に関わることを見出した。本研究では、PNPLA6がリン脂質の分解と新規合成を結ぶ鍵酵素であることを証明するとともに、網膜恒常性の統制あるいはその破綻が網膜変性をもたらす新規分子機序を解明する。
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研究成果の概要 |
網膜色素変性症は、網膜色素上皮細胞と視細胞の進行性の変性により視野が狭窄する疾患である。本研究は、遺伝性の網膜色素変性症の原因遺伝子の一つであるPNPLA6が、網膜色素上皮細胞においてリゾホスファチジルコリンを経てグリセロホスホコリンを生成するユニークなホスホリパーゼB活性を持つことを明らかにした。眼でPNPLA6を欠損させたマウスは、網膜色素上皮細胞と視細胞の変性を生じたことから、PNPLA6を軸としたリン脂質の代謝が網膜の恒常性維持に必須であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、PNPLA6が既成概念とは異なるホスホリパーゼB活性を有することに着目し、未解明だった網膜色素変性症のメカニズムを、膜リン脂質の新陳代謝機構を切り口として脂質生化学的観点から解明する独自のものである。膜リン脂質の代謝産物の補填が、網膜色素変性症の予防治療に有効である可能性がある。
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