研究課題/領域番号 |
22K20963
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宇都宮 健 九州大学, 大学病院, 助教 (20963151)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 特発性大腿骨頭壊死症 / 修復反応 / 圧潰 / 骨硬化像 / 遺伝子 / 予測 / 病態解析 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
特発性大腿骨頭壊死症 (ONFH)は大腿骨頭内に骨壊死が発生し、壊死骨梁が添加骨形成によって修復され肥厚骨梁となり、X線やCT画像で壊死域と健常域の間の境界域における骨硬化像として次第に同定される。この期間は無症状であるが、ひとたび圧潰が発生すると激烈な疼痛を発症し股関節機能の荒廃に至る。 申請者は未圧潰ONFHにおいて骨硬化性修復反応を伴う壊死境界域に応力が集中することで、圧潰が発生することを報告したが、根幹となる骨硬化性修復反応が生じる機序は不明である。 本研究ではONFHにおける骨硬化性修復反応の起点としてマクロファージを中心とする細胞間ネットワークが重要な役割を担うという仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
特発性大腿骨頭壊死症 (ONFH)において圧潰は患者の予後を規定する重要なイベントである。圧潰発生には骨硬化性修復反応を伴う壊死境界域における応力集中が重要であるが、修復反応が生じる機序は不詳である。今回、圧潰後ONFH摘出骨頭を用い、骨頭全体を用いた前額断スライスを作成し、免疫蛍光染色を行うことで、修復域および壊死域における血管再生因子や神経再生因子の分布の相違を確認している。さらに壊死境界域における骨組織中のたんぱく質抽出および定量評価にも着手している。 さらに圧潰進行に寄与するMRI所見は未解明であり、外側壊死境界域が臼蓋荷重面に留まるType B/C1では圧潰予測に課題が残っていた。そこで圧潰後1年以上保存的に経過観察し得たType B/C1 39症例41関節を対象にMRIを用い、壊死体積と圧潰進行について検討し、壊死体積が大きいほど有意に圧潰進行を生じることが明らかとなった。この成果は本邦整形外科の代表的な臨床系雑誌である「整形外科と災害外科」誌に掲載された。 また、圧潰後ONFHでは人工関節全置換術や関節温存術が必要になるため、それらの臨床成績をアップデートすることは重要な課題である。ONFHに対する人工股関節置換術後後方脱臼の危険因子ついてJournal of Orthopaedics誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当科は特発性大腿骨頭壊死症に対し国内で有数の症例を誇る施設であり、十分な症例数を確保できていることから骨頭の採取が順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も研究計画書に準じ、研究を進めていく方針である。現在、各種免疫蛍光染色を追加で行いデータ解析中である。さらに壊死境界域における骨組織中のたんぱく質や遺伝子発現の定量評価を行っている。また特発性大腿骨頭壊死症と類似した骨頭圧潰を来す鑑別すべき疾患である大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折においても同様の検討を行なう予定である。さらに臨床画像評価ではMRIを用いた追加検討も行い英語論文として投稿中である。
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