研究課題/領域番号 |
22K20995
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 啓喬 九州大学, 大学病院, 助教 (90961996)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 炭酸アパタイト / 多孔体 / 骨補填材 / 連通気孔 / 骨造成 / 人工骨補填材 |
研究開始時の研究の概要 |
炭酸アパタイトは骨無機質の主成分であり、高い骨伝導性、骨置換性を有することから人工骨補填材として口腔インプラント治療で使用されている。 骨補填材の骨造成能力は組成だけでなく構造にも影響を受ける。中でも全ての気孔が互いに連通した三次元連通気孔は細胞や組織液を迅速に材料内部に誘導することができるため、骨造成を促進すると考えられる。本研究では炭酸アパタイトに三次元連通気孔を付与し、そのサイズや量を制御することで、三次元連通気孔が炭酸アパタイトの骨造成に与える影響について検証する。
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研究実績の概要 |
炭酸アパタイトは骨無機質の主成分であり、高い骨伝導性、骨置換性を有することから人工骨補填材として口腔インプラント治療時の骨再建に使用されている。本研究では炭酸アパタイト骨補填材に多孔体構造を付与し、さらにその気孔サイズを最適化することによりさらなる機能向上を図ることを目的としている。 まずは異なる気孔サイズを有する炭酸アパタイトの作製を行うこととした。先行研究では顆粒状の炭酸アパタイトを粟おこしの様に連結することで、三次元連通気孔を有する炭酸アパタイトを作製できることを明らかにしている。我々は顆粒のサイズを変えることで粟おこし様の炭酸アパタイトの気孔サイズを制御できると考えた。 まずサイズの異なる3種類の酸化カルシウム顆粒を調製した。酸化カルシウムの水和膨張を利用して、それぞれの顆粒を結合させ、顆粒同士が連結した炭酸カルシウム多孔体を調製し、その後リン酸含有溶液に浸漬することで炭酸アパタイト多孔体へと組成変換を行った。顆粒サイズごとにsmall群(S群)、medium群(M群)、large群(L群)と分類した。 粉末X線回折法にて結晶構造を解析したところ、すべての多孔体が炭酸カルシウムから炭酸アパタイトへと変換されていることが確認できた。走査型電子顕微鏡にて表面の形態を観察したところ、表面に気孔が存在する多孔体構造を有していることが確認できた。 それぞれの炭酸アパタイト多孔体の気孔サイズを確認するために、水銀圧入法にて気孔分析を行ったところ、S群の気孔サイズは約20μm、M群の気孔サイズは約50μm、L群の気孔サイズは約100μmであった。 以上より、炭酸アパタイト多孔体の気孔サイズ制御に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
炭酸アパタイトは炭酸カルシウムを前駆体とした溶解析出反応によって作製するが、気孔の小さい炭酸カルシウムを炭酸アパタイトへと完全に組成変換することが困難であった。この理由として、気孔サイズの小さい炭酸アパタイトでは反応溶液が内部に浸透しづらく、内部に未反応部分が残存していたことが原因だと考えられる。 そこで、われわれは炭酸カルシウムの結晶形態を変化させたり、温度、時間などの反応条件を最適化したりすることで、炭酸アパタイトへの完全な組成変換を達成することとした。この最適化に予想以上の期間を要したが、現在気孔サイズの小さい炭酸カルシウムを炭酸アパタイトに変換する条件は確立済みである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、気孔サイズの異なる炭酸アパタイト多孔体の作製まで達成している。 今後はラット骨髄細胞を用いた細胞実験やウサギなどの動物を用いた材料の埋入実験にて炭酸アパタイトの気孔サイズが骨造成に及ぼす影響とそのメカニズムについて解明する方針である。
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