研究課題/領域番号 |
22K20996
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大平 真之 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (70963255)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 歯周病 / 唾液 / HbA1c |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病と糖尿病は双方向に影響し、歯周病は糖尿病進行の危険因子と考えられている。歯周病が糖尿病進行に影響を及ぼす理由として、歯周組織を介した炎症、歯周病原細菌および咀嚼機能の低下が3大因子として挙げられる。しかし、これら因子と糖尿病進行との関連性を網羅的に検討したコホート研究はない。申請者らが2017年度に五島市住民を対象に予備的に行った横断研究では、これら因子のうち、歯周病原細菌とHbA1cの関連が示唆された。そこで本研究では、同コホートを対象に、これらの因子が糖尿病の発症に及ぼす影響を縦断的に解析する。強い関連を示す因子の特定は、歯周病および糖尿病の治療法の改善に役立つことが期待される。
|
研究実績の概要 |
歯周病と糖尿病には双方向性の因果関係があり、歯周病は糖尿病進行の危険因子であると考えられている。歯周病が血糖コントロールに影響を与える理由として、歯周ポケットを介した炎症、歯周病原細菌および咀嚼機能の低下が3大因子として指摘されている。しかし、これら因子と糖尿病進行との関連性を網羅的に検討したコホート研究はない。研究代表者らが長崎県の離島である五島市住民を対象に予備的に行った横断研究では、これらの因子の中で唾液中の歯周病原細菌の一つであるPorphyromonas gingivalisレベルがHbA1c値と関連していることが示唆された。そこで本研究では、このコホートを対象とした縦断研究を行い、歯周組織の炎症、唾液中の歯周病原細菌量および咀嚼機能が、血糖コントロールや糖尿病の発症に及ぼす影響を解析する。これらの因子と血糖コントロールとの関連が明らかになれば、歯周病および糖尿病の治療法の改善に役立つことが期待される。 2022度は、長崎大学が長崎離島医療研究所と連携して実施している、五島検診に参加した。参加者から全身に関連する項目と併せて、歯周炎および咀嚼機能に関連する項目を測定した。同地域で、2017年度には医科・歯科検診および唾液採取を実施しており、これらの検診結果を用いて、歯周組織の炎症、唾液中の歯周病原細菌量および咀嚼機能がHbA1cの上昇や糖尿病の発症に影響を及ぼすかを縦断研究で解析する。 2017年度に採取した唾液を用いてPCRを行い、歯周病原細菌を定量した。医科歯科検診とこれら細菌量のデータを用いて重回帰分析を行った結果、一定量以上の唾液中のPorphyromonas gingivalisがHbA1c値に有意に関連する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には、長崎大学が長崎離島医療研究所と連携して毎年実施している、五島での医科歯科検診に参加した。2017年度と同じく一次離島(福江地区)にて検診を実施し、全身に関連する項目(身長、体重、血液検査(HbA1c値、空腹時血糖、CRPレベル))と併せて、歯周炎(智歯を除く全歯牙のプロービング値(PPD)、クリニカルアタッチメントレベル(CAL)、プロービング時の出血(BOP)、Debris 指数(DI)、Calculus指数(CI))および咀嚼機能(現在歯数、天然歯における機能的咬合単位(n-FTU)、固定性補綴物も含む機能的咬合単位(nif-FTU)、可撤性義歯も含む機能的咬合単位(total-FTU))に関連する項目を測定した。コロナ感染拡大防止のため、検診を縮小傾向で行い、参加者からの唾液採取は実施できなかった。 2017年度は福江地区にて検診を行った。参加者から採取した唾液サンプルを用いてリアルタイムPCR法を行い、唾液中の歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalis、Aggregatibacter actinomycetemcomitans)および総細菌量を記録した。2022年度にこれらと上述の項目のデータを併せて重回帰分析を行った結果、一定量以上の唾液中のPorphyromonas gingivalisがHbA1c値に有意に関連する可能性が示唆された。 2018年度は二次離島(奈留島)にて検診を行った。検診を縮小傾向で行い、唾液採取は行えなかったが、上述の項目を測定した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は参加者からの唾液採取が再開したため、参加者からの唾液サンプルを用いてリアルタイムPCR法を行い、歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalis、Aggregatibacter actinomycetemcomitans)および総細菌量を測定する。2018年度に検診を実施した奈留島に加えて、岐宿、玉之浦地区でも検診を実施する予定である。全身に関連する項目(身長、体重、血液検査(HbA1c値、空腹時血糖、CRPレベル))と併せて、歯周炎(智歯を除く全歯牙のプロービング値(PPD)、クリニカルアタッチメントレベル(CAL)、プロービング時の出血(BOP)、Debris 指数(DI)、Calculus指数(CI))および咀嚼機能(現在歯数、天然歯における機能的咬合単位(n-FTU)、固定性補綴物も含む機能的咬合単位(nif-FTU)、可撤性義歯も含む機能的咬合単位(total-FTU))に関連する項目を測定する。 2017、2022年度に同じ一次離島(福江地区)で医科歯科検診を実施しており、歯周組織の炎症、唾液中の歯周病原細菌量および咀嚼機能がHbA1cの上昇や糖尿病の発症に影響を及ぼすかを縦断研究で解析する。 2018年度に二次離島(奈留島)で医科歯科検診を実施しており、2023年度にも同じ地区にて検診を実施予定である。2018年度には唾液採取を実施していないため、唾液中の歯周病原細菌量を測定することができなかった。しかし、その他のデータを用いて歯周組織の炎症および咀嚼機能がHbA1cの上昇や糖尿病の発症に影響を及ぼすかを縦断研究で解析することは可能である。 また、一次離島と二次離島の解析結果を比較することで、地域の特性に応じた因果関係を明らかにできる可能性がある。
|