研究課題/領域番号 |
22K21004
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
服部 洋一 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50836103)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 破骨前駆細胞 / 老化 / cGAS-STING / 骨リモデリング / SASP / cGAS - STING経路 |
研究開始時の研究の概要 |
老化細胞ではSASP(senescence-associated secretory phenotype)と呼ばれるタンパクなどの分泌現象が生じており、炎症性疾患の惹起の可能性を指摘されている。骨リモデリングにおける微小環境は、加齢に伴い細胞老化を起こした骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞などのSASPを介した因子により形成され、SASPは骨恒常性を破綻させる因子の一つではないかと考えている。 SASPの誘導にcGAS - STING経路の活性化が寄与しており、本研究では骨リモデリングの微小環境におけるSASPとcGAS - STING経路との関連の解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度で、破骨前駆細胞様細胞であるRAW264.7細胞は継代数の増加に伴い、cGAS-STING経路が活性化されていることを確認した。本年度は、引き続き5、10、20代に継代したRAW264.7細胞を用いて、STING阻害剤であるC-176を添加することでSASPが抑制できるか、また破骨細胞への分化能に変化があるか比較検討を行った。 まず、各継代数の細胞において、C-176添加群、未添加群に分け比較検討を行った。まず、ウエスタンブロット法にてC-176添加群において、STINGの発現が低下していることを確認した。培養上清中のSASP因子(IL-6、TNF-α、NO)の濃度をELISAにて定量的に評価した。C-176未添加群は、継代数の増加に伴い、SASP因子の濃度はいずれも有意な上昇を認めた。一方、C-176添加群においては、未添加群と比較しSASP因子の濃度はいずれも有意に低下していた。各継代群にRANKLを投与し、TRAP染色およびTRAP Assayにて破骨細胞への分化能を定量的に評価した。C-176未添加群において、20代継代した細胞群では破骨細胞への分化能が有意に低下していた。一方、C-176 添加群では、20代継代した細胞群でもTRAP活性は高値を示し、未添加群と比較しTRAP活性は有意に上昇していた。また、TRAP染色においても、C-176未添加群ではほぼ確認できなかった破骨細胞が、C-176添加群においては確認できた。 RAW264.7細胞は老化に伴い、破骨細胞分化能が低下し、cGAS-STING経路が活性化されSASPが誘導される。RAW264.7細胞において、STINGを阻害することでSASPの誘導を抑制でき、破骨細胞の分化能が回復することが確認できた。STING経路もしくはSASP因子自体に、破骨細胞分化能を制御する因子との関連があることが示唆された。
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