研究実績の概要 |
本研究の目的は、①口腔粘膜上皮および皮膚上皮における瘢痕形成の違いを調査し、②局所のサイトカイストームを制御することで、瘢痕形成を抑制する新たな治療法を模索することである。ヒト口腔粘膜由来細胞(線維芽細胞)、ヒト皮膚由来細胞(線維芽細胞)を用いて、インキュベーター内で37℃、5%CO2の条件下で培養し、サブコンフルエントまで細胞を増やした。培養後、各細胞の通常培養状態での炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)の挙動を調査し、検討中である。皮膚欠損モデルとして、8週齢のSDラット背部皮膚に直径8mmの円形の全層皮膚欠損創を作成した。また、口腔粘膜は、頬粘膜に2mm×2mmの上皮欠損を作成する口腔粘膜欠損モデルを作成中である。また背筋に0.5%ブピバカイン2mlを注入し、筋肉損傷(瘢痕形成)モデルを作成した。局所的炭酸ガス投与を行うことで、瘢痕形成が抑制されるかを検討した。炭酸ペーストは投与時間10分間、週5回を経皮的に塗布を行った。炭酸ガス発生しないペーストを、コントロールペーストとして塗布を行った。3, 7, 14, 21日目に創傷治癒の観察を行った。またそれぞれのtime pointで組織を採取し、RNAを抽出し、real time PCRで検討を行う。また、蛋白については免疫染色で検討を行う。インターロイキン6, インターロイキン1βなどの炎症性サイトカイン、瘢痕形成に関わるTGF-β、および、筋再生マーカーとされるmyoD, myogeninについて、現在、検討中である。
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