研究課題/領域番号 |
22K21021
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 陽 岩手医科大学, 歯学部, 常任研究員 (00963365)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エナメル質 / 石灰化 / エネルギー代謝 / 成熟期エナメル芽細胞 / エナメル芽細胞 / 低酸素 / 酸化的リン酸化 / 解糖系 / エナメル質石灰化 / RA / SA / 歯 |
研究開始時の研究の概要 |
エナメル質石灰化を担う成熟期エナメル芽細胞は、波上縁構造をもつ細胞集団(RA)と持たない細胞集団(SA)が周期的に出現する。しかしこのRAとSAの周期的出現がどのよう制御されているのかは理解されていない。本研究ではRAとS Aの周期的出現とエネルギー代謝の関係を解明するとともに、この破綻による成熟期エナメル芽細胞への影響とエナメル質形成不全との関連を明らかにする。本研究は、エネルギー代謝という新たな視点から硬組織形成メカニズムの解明を目指すものであり、エナメル質研究における新しい研究分野を開拓するとともに、エナメル質形成不全の病態解明や、診断・予防・治療法の開発に新展開をもたらすと考える。
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研究成果の概要 |
成熟期エナメル芽細胞は、波上縁構造をもつ細胞集団(RA)と持たない集団(SA)が周期的に出現し(RA-SA サイクル)エナメル質の石灰化を行う。本研究ではRA-SAサイクルとエネルギー代謝の関係を解明するとともに、この破綻によるエナメル質石灰化への影響を明らかにした。マウス切歯の解析からRAは酸化的リン酸化優位でありSAでは解糖系優位にシフトすることがわかった。成熟期エナメル芽細胞を解糖系優位のエネルギー代謝状態にシフトさせるとエナメル質石灰化能が低下することから、エネルギー代謝状態のシフトがRAとSAのフェノタイプを変化させることでエナメル質石灰化の調節に関与していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、成熟期エナメル芽細胞の「RA-SAサイクル制御機構」というこれまで全く手付かずであった難問に対し、解決の手がかりを与えるとともに、「エネルギー代謝によるエナメル質石灰化制御」という新たな研究領域を確立・進展し、今後のエナメル質研究の新機軸になると期待できる。エナメル質は再生しない組織であるため、その異常を未然に防ぐことは重要である。本研究の成果を基盤としてエナメル質形成不全の病因解明、新たな診断・予防・治療法のための分子ターゲットが示され、早期発症リスク予測が行えるようになれば、早期介入、オーダーメイド医療の実現が可能となり、社会に対して大きな波及効果を及ぼすと期待できる。
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