研究課題/領域番号 |
22K21037
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 侑加 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50966710)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 軟骨 |
研究開始時の研究の概要 |
Slc26a2遺伝子のノックアウトマウス(Slc26a2-KOマウス)が四肢の短小化といったFGFR3遺伝子変異による軟骨無形成症の臨床症状とよく似た表現型を示すことが知られているが、下顎では表現型が著明ではないことがわかった。そこで本研究では Slc26a2遺伝子のノックアウトマウスを用いて、Slc26a2の欠失による硫酸イオン代謝異常が、上顎骨の低形成や上顎歯胚に特異的な形成不全等を引き起こすメカニズムを明らかにすることで、軟骨形成不全症の病因を解明し、新しい分子診断や予防・治療法の基盤構築を目的とする。
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研究実績の概要 |
上顎骨の形態形成において、硫酸イオン代謝が重要な働きをしていることは疑いがない。しかし、軟骨形成の、特に上顎の発生過程において、硫酸イオン代謝がどのような役割を担っているかについて報告はない。Slc26a2の欠失による硫酸イオン代謝の異常が、上顎骨の低形成や上顎歯胚に特異的な形成不全等を引き起こすメカニズムを明らかにすることで、軟骨形成不全症における特徴的な顎顔面形態異常の病因を解明し、新しい分子診断や予防・治療法の基盤構築を目的とした。Slc26a2のホモ変異マウス胎児から経時的 (胎生12.5日、胎生18.5日)に頭蓋顎顔面組織を採取し、μCTや骨格標本による形態学的 な解析を行った。上顎骨の組織切片を作製し、HE染色や免疫化学染色、in situ hybridization等により、病理組織学的に解析する。上顎骨の軟 骨組織をレーザーマイクロダイセクションにより採取し、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析を行うことで、軟骨形成不全の原 因となっている分子メカニズムを検索した。上記で抽出した分子経路について、上顎から採取した軟骨細胞を用いて、in vitroでの検証実験を行った。さらに、軟骨無形成症の原因遺伝子であるFGFR3との関連を検索するために、Slc26a2欠失軟骨細胞におけるFGFR3シグナル分子の活性(MA PK,JAK2/STAT,mTOR)をウエスタンブロットにて野生型と比較検討することで、軟骨形成不全の病因をさらに解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続して研究を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス軟骨前駆細胞株にレンチウイルスをトランスフェクションし、Slc26a2ノックダウンを行うと、正常細胞と比較して アポトーシスが亢進することをすでに見出している。そこで、Slc26a2-KOマウスの上顎から抽出した軟骨細胞においてもアポトーシスが亢進し ているか検証したうえで、方法①のトランスクリプトーム解析で抽出した分子経路阻害剤を治療薬として用いることでアポトーシスが抑制でき るか検討する。アポトーシスの亢進を認めない場合は、軟骨基質のCol2a1遺伝子の発現をアウトプットして、同様の回復実験を行う。in vitro での表現型の回復作用を検証した後、治療薬の中で最も有効性が高い阻害剤をin vivoで応用する。Slc26a2-KOマウスに治療薬を投与することで表現型の回復を図り、予防・治療法としての有効性を検討する。
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