研究課題/領域番号 |
22K21041
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 ゆかり 九州大学, 大学病院, 医員 (30961924)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 歯肉幹細胞 / エクソソーム / SP-1 / アデノシン / マクロファージ / 炎症制御 |
研究開始時の研究の概要 |
間葉系幹細胞(MSC)はその多分化能により再生目的組織の機能を代替するだけでなく、障害を受けた組織の再生を分泌物質により強力にサポートすることで治療効果を発揮するとした概念が提唱され、その活性中心を担う分泌物としてエクソソームが注目されている。
本研究は、歯肉幹細胞への転写因子SP-1活性化によるエクソソーム細胞膜酵素CD39/CD73発現亢進を介して、効率的な修復性マクロファージ誘導増強効果を得ることを目的としている。新規歯周病治療の開発のみならず、 歯肉幹細胞由来エクソソームによる慢性炎症性疾患への応用に向けた基盤を構築することで、更なる波及効果が期待される。
|
研究実績の概要 |
慢性炎症疾患である歯周炎の発症・進行と創傷治癒には、歯周組織に浸潤したマクロファージの機能が深く関わっている。マクロファージはその働きにより、炎症型(M1)および炎症の収束と組織再生を担う修復型(M2)の2種類に大別される。歯周組織破壊には主に炎症性(M1)マクロファージが関与する一方で、歯周組織再生の成功には、修復型(M2)マクロファージの誘導が不可欠であるとされる. 申請者のグループは先行研究で、歯肉幹細胞(GMSC)由来エクソソームによる修復型(M2)マクロファージ誘導を介した歯周炎抑制効果を報告した。一方、M2マクロファージはアデノシン三リン酸(ATP)から細胞膜酵素CD39/CD73の働きで産生されるアデノシンにより誘導される。近年、幹細胞を炎症刺激することによるネガティブフィードバック機構により、その抗炎症能が増強することが報告されている。そこで申請者が検証を行った結果、TNF-α/IFN-αによる共刺激が最もエクソソームでのCD73発現を誘導することを確認し、TNF-α/IFN-α共刺激GMSC由来エクソソームは含有CD73/CD5Lの促進を介して相乗的にM2マクロファージ誘導能を増強することを発見した。 さらに、転写因子であるSP-1がCD39/CD73両分子の発現制御を行うことに着目し、GMSCへのSP-1活性化によるエクソソーム含有CD39/CD73発現亢進を介して、更に効率的なM2マクロファージ誘導増強効果を得ることを目的として研究を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GMSCへのTNF-α/IFN-α共刺激GMSC由来エクソソームが、含有CD73/CD5Lの促進を介して相乗的にM2マクロファージ誘導能を増強することを論文発表したが、リバイス実験対応に時間を費やしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
SP-1による GMSC 由来エクソソームのCD39/CD73発現制御を介したM2マクロファージ誘導について以下の方法で検証する。 ①SP-1によるGMSCエクソソーム内包CD39/CD73発現制御機構の解析 予備実験の結果から、TNF-α/IFN-α刺激でSP-1/SMAD5発現が亢進することによりGMSC由来エクソソーム内包CD73の発現促進を確認している。CD39に対してSP-1が促進因子であり、SMADが抑制因子であることから、SP-1発現Plasmid導入によるCD39/CD73発現が誘導されるかを検証する。上手くいかない場合、GMSCへのSMAD5-siRNAもしくはCD39/CD73発Plasmid導入によるエクソソーム内包CD39/CD73発現促進を試みる。 ②SP-1過剰発現GMSC由来エクソソームによるM2マクロファージ誘導能とアデノシン代謝の評価 SP-1過剰発現GMSC由来エクソソーム刺激によるM2型マクロファージ誘導能について、qRT-PCRおよびフローサイトメトリーでM1マーカー(CD86)/M2マーカー(CD206)の発現を比較する。細胞はTHP-1もしくはCD14+末梢血単球からの分化マクロファアージを使用する。さらにエクソソーム添加時の細胞内および培養液内のATP量、アデノシン量を測定し、アデノシン代謝が活性化されていることを確認する。
|