研究課題/領域番号 |
22K21066
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上野 智也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40968583)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨肉腫 / Runx / c-Myc / TGFβ / Runx3 / p53 / TGF-β |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究によって、骨肉腫発症の根幹は、がん抑制遺伝子p53の欠損下で転写因子Runx3誘導性に、がん遺伝子c-Mycが過剰発現することにあると判明した。しかし、この機序を惹起する因子は不明のままであった。 腫瘍微小環境では、炎症性サイトカインが腫瘍悪性化因子として機能するとされている。そこで、p53欠損骨肉腫細胞で高い発現が見られたサイトカインTGFβに着目し、解析を進めたところ、TGFβが、Mycスーパーエンハンサー上に転写因子複合体の形成を誘導し、Runx3依存的なMyc過剰発現を惹起していることが分かった。本研究では、この転写因子複合体の形成機序と骨肉腫発症・進展における役割を解明する。
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研究成果の概要 |
我々は先行研究で、骨肉腫においてp53不活性化とMycの過剰発現がRunxによって媒介されることを明らかにした。しかし、p53欠損下でRunxによるMyc発現誘導機序は不明のままであった。 本研究では、TGFβが骨前駆細胞にMycを過剰に誘導することを見出した。さらに、TGFβ刺激により活性化するMyc遺伝子下流の領域、Mycスーパーエンハンサーを同定した。この領域には、TGFβ刺激下でRunx、AP1、Smads等のがん関連転写因子が集積する。一連の結果は、Mycの調節不全がこの領域によって媒介されていることを示しており、TGFβはMycを過剰発現させる上でRunxと共に重要な役割を果たす。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん抑制遺伝子p53とがん遺伝子Mycは、ヒトの悪性腫瘍に広く関わる代表的な遺伝子であり、これらを取り巻く分子機序の解明に多くの研究者が取り組んでいる。そのため、p53とMycがRunxやTGFβによって仲介されることを示した本研究成果は、骨肉腫以外の悪性腫瘍の研究にも繋がるだろう。特に、Myc過剰発現誘導の中核を成すTGFβ作動性転写装置は、骨肉腫だけでなく、他の悪性腫瘍の治療標的となる可能性を秘めている。
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