研究課題/領域番号 |
22K21072
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
福井 怜 日本大学, 歯学部, 助教 (60771095)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | IL-1 α / 口腔がん / alarmin / 口腔扁平上皮癌 / IL-1α / 悪性化進展 / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔癌の外科的治療は、患者のQOLの低下を招くことから、癌の進展を予防することは重要な課題である。癌の増殖・浸潤・転移などの悪性化進展を助長する場となる癌微小環境では、危機的な状況をいち早く察知し周囲に知らせる”alarmin”としInterleukin-1α(IL-1α)が多量の放出されており、癌の病態におけるIL-1αの役割が注目されている。 本研究は、ヒト口腔癌症例の外科病理学的解析を基盤として、癌微小環境において分泌されたalarminとしてのIL-1αが、口腔癌の悪性化進展に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、口腔癌の新たな予防・治療法開発に繋げる研究を目指す。
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研究実績の概要 |
口腔癌の治療における外科的切除は、患者のQOLの低下を招くことから、癌の進展を予防することは重要な課題である。癌の悪性化進展を助長する場となる癌微小環境では、低酸素状態などの危機的な状況をいち早く察知し周囲に知らせるため、alarminとしてInterleukin-1α(IL-1α)が細胞から分泌されており、癌の病態におけるIL-1αの役割が注目されている。特に頭頚部癌患者においては、IL-1αの高発現患者は、低発現患者に比べて生存率が有意に低下していることも報告されている。 本研究は、ヒト口腔癌症例の外科病理学的解析を基盤として、癌微小環境において分泌されたalarminとしてのIL-1αが、口腔癌の悪性化進展に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、研究を進めている。未だ報告のない口腔癌におけるIL-1αの発現を臨床検体を用いて検討し、臨床データとの相関を見出そうとすることは、IL-1αの新規の生理的機能の解明にもつながる知見になることから今後も慎重に解析を継続していく。 また分子生物学的な解析により、数種類の口腔癌細胞株を比較検討した結果、これらの細胞株には恒常的なIL-1αの分泌量に差があり、また癌微小環境を再現した低酸素下で培養すると、IL-1αの分泌量が顕著に上昇することが確認された。加えて、分泌されたIL-1αが癌細胞自身または周囲の細胞の細胞増殖能に影響を与えている可能性も示唆される結果が得られたことから、今後は、siRNAを用いてIL-1α発現を抑制した実験系にて検討し、口腔癌の新たな予防・治療法開発に繋げる研究を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、以下の通りに進んでいる。 (1)ヒト臨床検体を用いた病理形態学的解析については、口腔に発生した扁平上皮癌と診断された臨床検体約114症例を対象に、口腔癌細胞におけるIL-1α発現を免疫組織化学的に検討し、解析を進めている。 (2)In vitroによる分子生物学的に解析し、数種類のヒト口腔癌細胞株を用いて分泌量や発現量を比較検討した結果から、今後の実験系に適した細胞株の選定と準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
外科病理学的解析においては、これまでに得られた染色結果をより詳細に検討するため、陽性症例においてIL-1α陽性細胞の周囲における形態学的な変化をより詳細に検討するだけでなく、陰性症例における分化度の分布、浸潤様式の分布を詳細に検討する。一方で、同一腫瘍内でも発現強度に領域的に差異を認めるなど、興味深い所見が得られたため、この発現強度の領域的な差異が悪性化進展とどのような関係があるのか、その発現に起因する新規分子または活性経路があるのかを追求したいと考えている。 また、分子生物学的解析としては、これまでの実験で得られた細胞株の選定を応用し、今後は、線維芽細胞との共培養、ならびにsiRNAによるIL-1αをノックダウンした実験系にて検討を続けていく。
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