研究課題/領域番号 |
22K21083
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 元太郎 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60964096)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 虚血性心疾患 / 剖検試料 / 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 内皮型一酸化窒素合成酵素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / ELISA / 法医学 / 一酸化窒素合成酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
虚血性心疾患は心臓突然死の主原因であるが、超急性死亡例では肉眼的・組織学的所見に乏しく、その死後診断は難しい。 NO合成酵素によって産生されたNOは可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化させて血管拡張を引き起こす。このことから、各NO関連タンパク質の死後定量が虚血性心疾患の死後診断に有用ではないかと考えた。 本研究では、剖検で得られた試料を用いて組織中の各種NO関連タンパク質の定量を行い、それら定量値を虚血性心疾患死亡症例とそうでない症例の2群で比較することで、虚血性心疾患死亡例おける各種NO関連タンパク質の発現量の違いを明らかにする。これにより、虚血性心疾患の積極的診断を可能にすることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では剖検時に採取した心臓試料を用いて、その試料中に発現するNO(一酸化窒素)関連タンパク質と虚血性心疾患との関係を調べている。 令和4年度では「サンプル採取および剖検データの整理」と「NO関連タンパク質の局在確認」の2点を中心に行った。 死後48時間以内という条件の下でサンプル採取を行い、それに加えて虚血性心疾患となる冠状動脈硬化症の程度や死因を含む各種剖検データの収集を進めた。 本研究でターゲットとするNO関連タンパク質は可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)とし、各タンパク質に対する抗体を用い、心臓試料に対して免疫染色を行い、局在の確認を行った。結果は、sGCは冠動脈の中膜に強く発現し、eNOSは心筋および冠動脈中膜、iNOSは冠動脈の外膜で主に発現していた。以上の結果から、剖検試料においても当該タンパク質の適切に発現していることが確認された。 令和5年度では心臓試料を心筋と冠動脈に分けた後、ホモジネートを作成し、まず総タンパク定量を行う(※一部は既に開始している)。その後、各組織ホモジネート中のタンパク質の存在をウエスタンブロッティングによって再確認し、改めてNO関連タンパク質の存在が確認できれば、実際にELISA法によって心筋および冠動脈のホモジネート中に存在するNO関連タンパク質の濃度を測定し、予め定量した総タンパク濃度で補正した値と収集した各種剖検データとの比較を行い、虚血性心疾患死との関係性を調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は例年に比して48時間以内の剖検が少なく、予定していた100サンプル採取ができなかった。しかし、令和4年度末時点で約70サンプルまで採取できており、研究内容や方針に変更はない。また予定に先立って総タンパク定量およびウエスタンブロッティングも一部試料で開始できており、今後の研究計画にも影響はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きサンプル採取を継続し、可能な限り当初予定していた100サンプルを目標に本研究を進めていく。並行して各タンパク質に対するウエスタンブロッティングを進め、存在を確認でき次第、実際にELISA定量を開始する。最終的に定量結果と剖検データと統計学的に解析し、成果の雑誌投稿や関連学会への発表を通して研究成果の積極的な公表を目指す。
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