研究課題/領域番号 |
22K21101
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
中村 隆太 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40960802)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ヒヨドリバナ属 / DNA解析 / 次世代シーケンサー / 個体識別 / 植物系統分類 / MIG-seq |
研究開始時の研究の概要 |
植物片は時として証拠資料や法医学的資料となり、由来を明らかにすることが求められる。ヒトの個人識別のように、植物の個体識別が可能であれば、より犯罪捜査に貢献できるものの、従来の形態観察やDNAの一部領域解析では、種レベルの識別に留まっている。本研究では、より多くのDNA情報を取得する方法としてMIG-seq法を用いることで、個体識別の可能性を探ることを目的としている。研究計画としては、植物サンプルを収集し、形態観察及び染色体観察を行った後、MIG-seq法によるDNA解析を行う。それらの結果から、分類再検討や雑種推定を行うほか、個体識別が可能であるかを、同種内の複数個体間での比較により確認する。
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研究実績の概要 |
今年度は、主にヒヨドリバナ属植物の採集を実施し、形態観察による種の同定を行った。また、従来のDNA解析手法を用いた際に識別がどれほど可能であるかを確かめるための、準備を行った。 植物園栽培個体については、予定していた小石川植物園のほか、日光植物園及び箱根湿生花園にて諸手続きを行い、採集を実施した。また、奥日光国有林、秋吉台国定公園及び水郷筑波国定公園において許可申請を行い、採集を実施した。そのほかにも、許可申請が必要のない地点で、採集を実施した。これには、2022年度に採集を行った地点や、植物園に保存されている個体の由来地域も採集を実施した。これにより、2022年度に採集した個体と併せて、合計339サンプルを採集した。 採集した全個体について形態観察を行い、形態に基づく種同定を行った。この結果を2024年度に実施する各DNA解析の際の判断基準とすることとした。なお、従来の形態識別では種同定できない、雑種と考えられる個体も一部あったほか、栽培個体の一部では、掲示と異なる種と同定される場合があった。 採集したサンプルを用いてDNA解析を行い、生育地間での比較、生育地内での比較、栽培個体と野生個体での比較、採取時期の違いによる比較を行うことで、どれほど識別が可能であるかを確かめる。DNA解析は、次世代シーケンサー(NGS)を用いる手法のほかに、従来の手法として、特定のDNA領域の塩基配列を決定するサンガー法も実施することで、形態に基づく種同定結果の確認や、NGSによる解析との識別能力の比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初2022年度に実施する予定であったサンプル採集について、標本及び乾燥させた葉の採集は2023年度のうちにほぼ完了することができた。また、採集した個体については、全個体で形態観察を完了している。ただし、採取時期が大きく違う場合の識別についても確かめるため、2024年度も一部の植物園で採集を実施する予定である。 なお、生きた個体はほとんど集めることができなかったため、染色体数調査は厳しく、今回は断念することとした。その代わり、従来のDNA解析法であるサンガー法による識別も実施することとした。 サンプルはほぼ採集できており、形態観察については完了していることから、作業は進んでいると言える。また、染色体数調査を取りやめたことで、予定していた作業量よりは減っている。しかし、DNA解析については着手できた段階であり、やや遅れていることは否めない。そのため、今後は、研究目的に応じたサンプルの選抜を行ったうえで、DNA抽出、解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの採集については、2023年度までにほぼ終えたものの、採取時期を変えた上での解析結果の比較のため、小石川植物園及び日光植物園にて採集を行う予定である。これまで採集した個体は全て形態に基づく種同定を終えているが、2024年度に採集する個体についても形態観察を行う。 これまでに採集したサンプルと、2024年度に採集するサンプルを併せてDNA解析を行う。次世代シーケンサーを用いたMIG-seq法に加えて、従来の手法を用いた解析も実施し、種の識別まで可能であるのか、生育地域の差を識別できるかを確かめる。当初の予定通り、MIG-seq法による解析も実施し、生育地間での比較、生育地内での比較、栽培個体と野生個体での比較、採取時期の違いによる結果の比較を行う。これにより、MIG-seq法を用いた際の識別がどれほど可能であるかを確かめる。なお、研究の進捗が遅れ気味であることから、目的に応じてDNA解析を行うサンプルの選抜を行う。 当初の計画で予定していた染色体数観察については、根ごとの採集が必要であり、葉だけの採集と比べて手続きや採集自体に手間がかかり、加えてその後の管理も必要である。種同定を行う形態観察及びメインテーマであるDNA解析と比べると、染色体数観察は種同定の補助や雑種推定に係るものであることから、優先度は低めである。研究の進捗が遅れていることから、今回は実施しないこととした。
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