研究課題/領域番号 |
22K21149
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柏崎 佑哉 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (30947031)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 放射線リスク認知 / 不確かさ不耐性 / 東日本大震災 / 原子力災害 / Well-being / リスクコミュニケーション / リスクリテラシー / 福島第一原子力発電所事故 / メンタルヘルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、放射線の健康影響に関するリスク認知、個人特性としての不確かさ不耐性が全般的精神健康状態やWell-being、リスクの受容可能性といった放射線災害アウトカム指標とどのように関連するかをアンケート調査を通じて明らかにし、放射線健康リスクコミュニケーションの実践に資する基礎的な知見を提供することを目的とする。得られた知見は、原子力災害からの地域復興における放射線健康リスクコミュニケーションの方法論構築の一助とし、継続的な住民支援に活かすとともに、災害リスクコミュニケーション学、復興学の確立に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、東京電力福島第一原子力発電所事故後の個人の放射線の健康リスクに対する認識ついて、心理的な関連要因としての不確かさ不耐性特性に着目し、放射線の健康影響に関する知識の有無やリスクリテラシーといった要因を含め、その関連について質問紙調査を用いて定量的に検証することである。 2023年度は、オンライン調査会社にアンケート調査を委託し、福島県と関東地方に住所登録をしているモニターを対象に、1,529件の調査回答を得た。放射線に関連した知識とリスクリテラシーが放射線の遺伝的影響に関するリスク認知との関連について解析を行い、福島原発事故における理解の促進に対し、放射線に関する情報提供やリスクコミュニケーションのみならず、全般的なリスクに対する理解の涵養が重要であることが示唆された。この結果は東日本大震災・原子力災害学術研究集会において報告した。引き続き、知識やリテラシーといった認知・学習的な側面に加え、感情・心理特性の要因を含めて、放射線リスク認知との関連について結果を報告する予定である。とりわけ、「リスク」は影響の大きさと発生の可能性に関する概念であり、不確かさを含有している。福島における放射線リスク認知に対し、この不確かな事象に対する個人の耐性との関連を明らかにした報告はなく、より効果的なリスクコミュニケーションの方法を議論する上で重要な要因として位置づけられる可能性がある。これまで放射線リスク認知との関連が明らかとなっているメンタルヘルスやリスク事象に対する態度といった要因を含めて議論を進めることで、災害リスクコミュニケーション学、復興学の確立に貢献する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査に係る倫理的配慮、アンケート構成等の調整のため、当初予定していたオンライン調査の実施時期に遅延が生じた。昨年度にアンケ―ト調査は実施済みであり、心理特性と放射線リスク認知との関連について解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、知識およびリスクリテラシーの放射線リスク認知への関連について国際学術誌へ論文投稿を行うとともに、Well-beingや不確かさ不耐性といった感情・心理特性が放射線リスク認知との関連について研究結果を報告する。成果はリスク学や災害関連学会にて成果発表を行うとともに、PLOS ONEやJournal of Radiological protectionといった学術誌へ投稿を行う予定である。
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