研究課題/領域番号 |
22K21154
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉田 悠人 順天堂大学, 医学部, 助教 (60965250)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | フレイル / アイフレイル / 認知機能障害 / 白内障手術 / 超高齢社会 / 視覚障害 / 高齢化社会 |
研究開始時の研究の概要 |
急速な高齢化により、加齢による心身機能の低下「フレイル」の有症率は急増し、その発症予防の確立は人生100年時代である本邦において緊急課題となっている。本研究では、「眼科的健常者は、アイフレイル(加齢に伴う視覚の機能低下)を有する患者に比べてフレイルを予防できている」との仮説を立て、高齢者を対象にアイフレイルと転倒・転落、認知機能、うつ病との関連性について検証を行う。さらに、眼科治療介入によるアイフレイルの改善が、心身機能全般に関連するフレイルに与える効果について検証する。本研究の成果より、アイフレイルの観点から新たなフレイル予防法を構築し、超高齢社会のニーズに応える。
|
研究実績の概要 |
急速な高齢化により、加齢による心身機能の低下「フレイル」の有症率は急増し、その発症予防の確立は人生100年時代である本邦において緊急課題となっている。我々はこれまでに、高齢者を対象とした『見え方』(視覚)に影響を与えうる角膜形状に関する大規模調査を進めてきた(Yoshida et al. Ophthalmic Epidemiol 2021)。また、『見え方』を通しフレイルを予防することを目的に解析を行い、良い『見え方』が社会参加を有意に促進することを見出した(Yoshida et al. Soc Sci Med 2020)。 われわれは、認知機能低下をきたした患者に対して, 白内障手術前後での認知機能の変化を検討した。白内障手術を施行した75歳以上の患者に対して, 認知機能検査(ミニメンタルステート検査(MMSE))を使用して, 術前と術後(3ヶ月後)の認知機能を測定した。 軽度認知症群において, 白内障手術後, MMSEスコアが有意に上昇した。 また軽度認知症群は認知症群と比較して, 有意に認知機能改善を認めた。本研究は, 認知機能障害が進行していない患者への白内障手術は, 認知機能を改善させる可能性があることを示唆した(現在本研究の成果は論文にし投稿中である)。 また、加齢に伴う視覚障害(アイフレイル)が心身機能全般に関連するフレイル(身体的フレイル、心理的・認知的フレイル、社会的フレイル、オーラルフレイル)に影響を及ぼし、それらを加速的に悪化させることによって、健康寿命を短縮させるという仮説を検証することを目的に、視野検査を施行した緑内障患者(300症例)を、視野障害の重症度により分類し、うつ病、認知症、転倒に関わる病歴との関連性を後ろ向き研究にて検証している。本研究の成果より、アイフレイルの観点から新たなフレイル予防法を構築し、超高齢社会のニーズに応えたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知機能低下をきたした患者に対して, 白内障手術前後での認知機能の変化を検討した。白内障手術を施行した75歳以上の患者に対して, 認知機能検査(ミニメンタルステート検査(MMSE))を使用して, 術前と術後(3ヶ月後)の認知機能を測定した。 軽度認知症群において, 白内障手術後, MMSEスコアが有意に上昇した。 また軽度認知症群は認知症群と比較して, 有意に認知機能改善を認めた。本研究は, 認知機能障害が進行していない患者への白内障手術は, 認知機能を改善させる可能性があることを示唆した(現在本研究の成果は論文にし投稿中である)。 また、加齢に伴う視覚障害(アイフレイル)が心身機能全般に関連するフレイル(身体的フレイル、心理的・認知的フレイル、社会的フレイル、オーラルフレイル)に影響を及ぼし、それらを加速的に悪化させることによって、健康寿命を短縮させるという仮説を検証することを目的に、視野検査を施行した緑内障患者(300症例)を、視野障害の重症度により分類し、うつ病、認知症、転倒に関わる病歴との関連性を後ろ向き研究にて検証している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、アイフレイルとフレイルとの関連性を解明し、眼科治療介入によるアイフレイルの改善によるフレイルの予防法を開発することを目的とし、下記研究を行う。 ①加齢に伴う視覚障害(アイフレイル)とフレイルの関連性の解析 本研究では、アイフレイルが心身機能全般に関連するフレイル(身体的フレイル、心理的・認知的フレイル、社会的フレイル、オーラルフレイル)に影響を及ぼし、それらを加速的に悪化させることによって、健康寿命を短縮させるという仮説を検証することを目的に、現在の『見え方』に対してアンケート調査を行い、うつ病、認知症、転倒に関わる病歴との関連性を解析する。また糖尿病網膜症患者の行動変容を目指し、糖尿病網膜症の重症度(目標:糖尿病網膜症なし100例、軽症・中等症糖尿病網膜症50例、重症糖尿病網膜症20例)に応じたフレイル発症の病歴・患者背景因子に関して調査する。 ②アルツハイマー病の予防を目指した網膜バイオマーカーの開発 眼底写真や眼底三次元画像解析(OCT:Optical Coherence Tomography)検査などから取得できるデジタル化された情報から様々な眼科疾患とアルツハイマー病との関連性について検討し、早期発見・予防・治療の有効性を見出すことを目指す。発症予防、早期発見のためには、アルツハイマー病の前段階と考えられる軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)の早期診断に役立つバイオマーカーの開発が期待される。 本研究では、OCTから取得できる網膜神経線維層厚・網脈絡膜厚などのパラメーターとアルツハイマー病・MCIとの関連について検証する。今後、フレイルとの関連性を検証することにより日本の眼科医療やヘルスケア全般の向上・発展の一躍を担いたいと考える。
|