研究課題/領域番号 |
22K21170
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2023) 京都大学 (2022) |
研究代表者 |
菊池 志乃 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90865685)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 認知行動療法 / オンライン / 情報通信技術(ICT) / オンデマンド動画 / オンライン教育 / 治療者育成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では過敏性腸症候群に対する認知行動療法を担う治療者に向けた、オンラインツールを活用したCBT治療者養成のための教育プログラムを開発し、その有効性と実現可能性を評価する。具体的には、①オンデマンド動画視聴後、質問票を用いて必要な知識を評価し、②必要知識の8割以上を満たした参加者が、実際の過敏性腸症候群の患者に対しオンラインで認知行動療法を実施し、患者の疾患重症度や生活の質の改善度で本教育プログラムの有効性と実施可能性を評価する。
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研究実績の概要 |
当初の予定ではインターネットを用いて薬剤抵抗性の過敏性腸症候群(IBS)に対する内部感覚曝露を伴う認知行動療法(CBT-IE)を実施できる治療者を養成する教育プログラムを作成し、学習と治療実践の2段階の治療者教育を計画していた。しかし、まず治療者教育のプログラムを作成後、知識の教育はできても1クールのCBT実践では治療者としての実戦経験としては少ないため、治療実践における結果は教育プログラムの出来ではなく患者に左右されるため、実際に臨床試験としては成り立っても、実臨床で意味がない可能性が指摘された。 このため、作成した教育用プログラムを改訂し、患者治療のためのプログラムとし、e-ラーニングの一部として、オンライン会議システムを用いた治療者によるCBT-IE介入に変更し、治療者の負担を大幅に軽減することでよりIBSに対するCBTの普及、および費用対効果のよい治療という点でも当初の目的に合致していると考える。 薬剤抵抗性のIBSに対する治療をパイロット試験を実施し、参加者からフィードバックを得た上で必要に応じたプログラムの変更を行うことを計画していた。実際の参加者からのフードバックから、e-ラーニングプログラムの問題となるアドヒアランスの向上を図る必要があると考えられた。このため、2023年4月よりプログラムの大幅な改定を実施し、2,4,6,8,10セッションにおいて2週間ごとの治療者介入を行い、アドヒアランス向上を目指す形にプログラムを変更した。 なお、プログラムの閲覧を希望する治療者には、プログラムの有効性が確認されれば閲覧可能としていたが、アドヒアランスの問題もあり、一旦治療者なしでの閲覧に関しては保留とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療者教育のためのプログラムとして作成した動画およびテキストを改訂し、薬剤抵抗性の過敏性腸症候群の患者に対する、心理介入としてe-ラーニングプログラムとして再構築した。プログラムの動作確認を行い、2023年3月までに12名を登録、介入を実施した。 治療者によるオンライン会議システムを用いた双方向性の短時間ガイドは全10セッションの内、後半のセッション6~10での5回とし、前半となるセッション1~5は参加者が動画とテキストをもちいて、e-ライニングサイト上で治療を進める形とした。 この結果、治療者ガイドを1回以上行えたのが9名、10回の全プログラムを終えたのが7名という結果となった。途中脱落した参加者も含め、プログラムに対するフィードバックをもらったところ、前半部分のセルフガイドの部分の理解が不十分なために後半に繋げることが難しかったという意見や、治療者と1週間ごとにセッションを行うのは時間の都合上難しく途中で介入が終了したという参加者もいた。 また、e-ラーニングサイトのアンケート機能を使って評価を行っていたが、集計する際に全角や半角での入力の違いや、最大値、最小値、整数などに関しては入力システムとして行えなかったため、文字での指示となっていたが参加者が指示を見落としているケースなどもあり、欠測値が生じるという問題も発覚した。 このため、2023年度から分かりにくかったと指摘された部分に対し、具体的な例などを動画やワークブックに追加し、より一般的で理解しやすい言葉での言い換えを行うプログラムの改訂を行った。また、データ登録の問題点なども加味し、より欠測が出にくいデータ収集管理システム(REDCap)でのデータ集積ができるようにシステムの構築を行い、ランダム化比較試験に向けたプロトコルの作成を行い、プロトコル論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤抵抗性の過敏性腸症候群(IBS)患者に対する内部感覚曝露を伴う認知行動療法(CBT-IE)のe-ラーニングプログラムを開発し、12名の参加者に対する単群、前後比較試験として実施可能性などを検証するためのパイロット試験を実施した。 途中脱落なども含めた、参加者からのフィードバックを元に再度動画およびテキストを修正し、特に治療者とのオンライン会議システムを用いた双方向性のセッションに関しては、10回のセッションの内の後半に重点的においていたものを、最初から2週間ずつ最後まで伴走する形に変更することで、分からない点などを治療者に早めに聞ける環境を作成するようにプログラムの変更を行う。 このほか、リクルートの際の説明の過不足に対しても、スライドを説明同意書にそって作成することで防げるように準備を行うことで対応していくよていとしている。とくに謝礼の不受理がないように説明の時点でも受領の説明を行うこととする。 このほか、アンケートシステムを用いたためにデータの意図しない形での入力ミス(整数での入力に対し、少数入力や、明らかな外れ値など)によるデータの欠測が生じた点も反省し、データ収集管理システム(REDCap)が使用できるように、動画やテキストなど治療も同システムから配信できるようにプログラムの修正を行い、今後のランダム化比較試験への準備とする。 現在、ランダム化比較試験のプロトコルの倫理委員会への提出および承認が完了し、プロトコル論文を投稿中であるため、リバイスに対して今後対応していく予定としている。
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