研究課題/領域番号 |
22K21198
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加治木 政伸 筑波大学, 体育系, 研究員 (50963641)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TRPチャネル / TRPV3チャネル / 皮膚血管拡張 / 発汗 / 熱放散反応 / 皮内透析法 / マイクロダイアリシス |
研究開始時の研究の概要 |
暑熱下運動時には、熱放散反応である皮膚血管拡張と発汗が生じ、過度の体温上昇を防いでいる。この熱放散反応についての理解を深めることは、熱中症予防策を確立する上で重要であるが、ヒトの熱放散反応の末梢メカニズムについては、不明な点が多く残されている。本研究では、生体への刺激を感受するセンサーの1つであるTRPV3チャネルに着目し、ヒトの熱放散反応におけるTRPV3チャネルの役割を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、TRPV3チャネルのアゴニスト・アンタゴニストの選定・濃度決定に関する実験を主に実施した。当初アゴニストの候補に挙げていた2-APBを皮内マイクロダイアリシス法を用いて皮下に投与したものの皮膚血管拡張は起こらなかった。そのため、違うアゴニストを選定する必要が生じた。先行研究を参考にいくつかのアゴニスト候補を用いた実験を行った結果、カルバクロール(オレガノの成分)を皮膚に塗布することで皮膚血管拡張が起こることを確認した。ヒトの皮膚にカルバクロールを塗布することでTRPV3チャネル由来の痒みを誘発することは既に分かっていた。また、マウスにカルバクロールを投与することでTRPV3チャネル由来の血管拡張が起こることも先行研究で明らかとされていたものの、ヒトの皮膚血管拡張へのTRPV3チャネルの関与は不明であった。本研究において、ヒトのTRPV3チャネルの活性化によって皮膚血管拡張が起こる可能性を初めて示すことができた。 また、カルバクロールを皮膚に塗布することによって皮膚血管拡張が起こるメカニズムを同時に調査し、一酸化窒素合成酵素、シクロオキシゲナーゼ、カリウムチャネルが関与していることを示唆した。この実験に関連する研究を2022年度の日本体力医学会大会で発表した(ポスター発表)。その後、TRPV3チャネルアンタゴニストの選定と濃度決定を進め、アンタゴニストであるTRPV3 74aを投与しながらカルバクロールを塗布することで、カルバクロール塗布による皮膚血管拡張が抑制されるかを検討している(現在進行中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初候補に挙げていたTRPV3チャネルアゴニストでは皮膚血管拡張が起こらなかったため、当初の計画を変更した部分はあるものの、違うアゴニストを用いることで本研究を進展させることができた。関連の実験も予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在進行中のTRPV3チャネルアンタゴニストの選定・最適濃度の決定のための実験を完了させる。その後、そのアンタゴニストを用いて、暑熱下運動の皮膚血管拡張や発汗にTRPV3チャネルの活性化が関与しているかを検討する。
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