研究課題/領域番号 |
22K21208
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 貴子 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (60948686)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脂肪酸受容体 / 腸管機能制御 / 中鎖脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪酸は生体の重要なエネルギー源であると同時に、脂肪酸受容体を介して様々な生理的反応を引き起こすシグナル伝達分子としても機能する。これまで、脂肪酸受容体はエネルギー代謝や免疫機能など生体機能維持に幅広く関与することが示されており、食環境の変化がもたらすストレスを脂肪酸受容体が適切に認識し、応答することで生体の恒常性は維持されている。申請者は新規脂肪酸受容体GPR164の腸管における機能解明に取り組んでおり、食とストレス応答という観点からGPR164の機能とその生理的意義を明らかにしたいと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、新規の脂肪酸受容体GPR164の腸管における機能を明らかにすることである。これまで、GPR164遺伝子欠損マウス(以下、GPR164欠損マウス)を用いた報告はなく、生体内でのGPR164の機能はほとんど明らかにされていない。そのため初年度ではGPR164欠損マウスを用いた表現型の解析により、腸管における本受容体の機能の探索を行った。腸管は様々な細胞種で構成されており、腸管上皮細胞は腸管バリア機能を、腸管内分泌細胞は代謝などに関わるホルモンの分泌を担っている。このことは、腸管の機能が全身の生体恒常性維持に重要であることを示唆しており、GPR164による腸管の機能維持の分子機序を明らかにすることは、全身の生体機能制御の分子機序を明らかにすることに繋がる。このような観点から、①GPR164欠損マウスの腸管組織の切片を作製し、組織の形態観察を行った。また、②野生型マウス、およびGPR164欠損マウスから血液を採取し、インスリン分泌や食行動に関わる腸管ホルモンの分泌量について、ELISA法により定量した。さらに、GPR164による腸管機能制御の分子機序について検討するため、③GPR164を欠損したcaco-2細胞を作製し、③経上皮電気抵抗値(TER)を測定することでバリア機能の評価を行った。このように、腸管におけるGPR164の機能をin vitro、in vivoの両面から包括的に検討することで、GPR164の機能不全がどのような表現型をもたらすのかを明らかにし、腸管を起点とした全身の恒常性維持の分子機序の探索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPR164欠損細胞株の作製およびGPR164欠損マウスの作出を行い、in vitro、in vivoの両面から包括的に検討を行うための準備が整えられた。また、腸管バリア機能の検討や腸管ホルモン量を定量するための実験方法の確立を行い、今後様々な検討を行うための準備は完了した。よって本研究は現状、順調にその研究計画を進行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新規脂肪酸受容体であるGPR164の腸管における機能を明らかにするため、今後注力したい研究として、1)食餌成分を変化させることによる表現型解析、2)腸管機能維持、特に腸管バリア機能の維持に関わるGPR164の分子機序の探索が挙げられる。食餌成分の変化として、高脂肪食や生体内で短鎖脂肪酸(酪酸)を増やす食餌をマウスに与えることで、腸管バリア機能や腸管ホルモン分泌に対する影響を検討する。高脂肪食は腸管の機能低下を引き起こし、また生体内で酪酸を増やす食餌は腸管バリア機能を向上させることが知られている。このような食環境の変化が、野生型マウスとGPR164欠損マウスの腸管バリア機能や腸管ホルモン分泌にどのような影響を与えるかを検討することで、GPR164による腸管を起点とした生体維持機能を明らかにする。GPR164による腸管バリア機能の維持がどのような分子機序で制御されるのか、についてはGPR164から伝わるどのようなシグナル伝達経路が重要であるのか、に焦点を当て今後検討を進めていく。
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