研究課題/領域番号 |
22K21213
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
清水 夏生 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (90966566)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 要介護高齢者 / 座位行動 / 行動の決定要因 / 質問紙 / 妥当性 / 行動変容 / 尺度開発 |
研究開始時の研究の概要 |
長時間の座位行動は成人の総死亡リスクを高める要因として注目されている。いわゆる座りっぱなしの状態は要介護高齢者においても蔓延しており, 要介護高齢者の健康状態を維持するためには効果的に座位行動の変容を促す必要がある。効果的に座位行動の変容を促すためには座位行動の行動学的な決定要因を特定するツールが必要となるが, そのような評価尺度はこれまで開発されていない。本研究の目的は要介護高齢者における座位行動の決定要因を評価するための質問紙を開発し, その測定精度を調査することとした. 本研究は要介護高齢者が不活動状態に陥る要因とその構造を行動学的に解明することに結びつく1歩目の研究になると考えている。
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研究実績の概要 |
本研究は要介護高齢者における長時間連続する座位行動回避に関する決定要因を能力・機会・動機の観点から評価するための質問紙(座位行動回避スコア)の開発とその妥当性の検証を目的として開始した。 研究の目的に応じて改変可能な質問紙を参考に、英語版の質問紙を作成し、全83項目の質問紙を作成した。その後、ダブルトランスレーションを実施し、日本語版にした座位行動回避スコアについて3名の専門家で表面的妥当性の検証を行い、34項目の質問を削除した。次いで、残存した49項目について8名の専門家によってデルファイ法による内容的妥当性の検証を実施し、最終的に9項目が削除され、40項目からなる座位行動回避スコア(試作版)が完成した。この結果はAsia-Pacific Society for Physical Activity 2023で報告し、国外の行動変容および身体活動に関する専門家3名から英語版の質問紙についての詳細なレビューとアドバイスを得ることが出来た。 現在、要介護高齢者を対象とした座位行動回避スコア (試作版) の構成概念妥当性と併存的妥当性の検証をするために、多施設でデータ収集を実施しており、申請時に目標としていた100名のデータ収集が完了した。座位行動回避スコアの併存的妥当性では42名の対象者の座位行動回避スコアの合計点と座位行動時間 (rs = -.471)、軽強度身体活動時間 (rs = .471)、60分連続する座位行動bout時間 (rs = -.310)がそれぞれ有意な相関を示している。構成概念妥当性については、想定よりも試作版の項目数が増えたことで目標サンプルサイズを200人に増加させたため、協力施設数を増やして追加のデータ収集を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
要介護高齢者の座位行動を標的とした行動の決定要因についての情報が極めて少なく、英語版での原案の作成が必要となった。ダブルバックトランスレーションの翻訳内容の検討・修正に想定以上の時間を要したことで初年度に遅れが生じた。 また、原案の項目は想定よりも内容的妥当性および表面的妥当性が良好と判断された項目が多く残ったため、項目数の多さから構成概念妥当性の検証に必要な因子分析のサンプルサイズが増加し、申請時よりも多くのデータ収集が必要になった。 座位行動時間と座位行動回避スコアの相関分析による併存的妥当性の検証に必要なサンプル数は確保できており、仮説よりも高い相関が得られ、かつ分析結果も安定している。構成概念妥当性の検証においては、現在100名のサンプルを得ることが出来たが、今後協力施設と連携してさらに100名のサンプル取得を進めており、不十分な項目の検出と削除による質問紙の完成を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
座位行動時間と座位行動回避スコアの相関分析による併存的妥当性の検証に必要なサンプルサイズは既に得ることが出来ているため、今後は座位行動回避スコアのデータ取得を中心に進めていく。質問紙のデータ収集では、質問紙や必要書類の配置を速やかに行うとともに、協力施設と連携して無理のない計画的なデータ収集を行っていく。具体的には残りの必要サンプル数を各施設の責任者と相談し、依頼するサンプル数を決定し、その不足分については新たな協力施設を研究協力者と連携して増やして対応する。
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