研究課題/領域番号 |
22K21238
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高橋 克匡 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (40965795)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マウス / 聴覚野 / 下丘 / 超音波発声 / 音声認知 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は外部から受け取る音に対して,その波長の差異から要素を取り分けて,音を意味あるものとして認識している。現在,中脳にある下丘から聴覚野に至るまでの上行性経路が音の分類に重要な役割を持つことが明らかとなっている。しかし一方で,聴覚野から下丘へのフィードバックが音声認知に与える影響については,ほとんど解明されていない。本研究は,聴覚神経回路のトップダウン制御が,得られた音情報をコミュニケーション音声として認識するために必要なのかを検証する。これらの実験から,音声認知に関わる上行性回路と下行性回路の相互作用を明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
聴覚野から下丘へ投射する神経細胞を詳細に調査するために,アデノ随伴ウィルスを用いたトレーサー実験と免疫組織化学染色をマウスに対して実施した。その結果,聴覚野では5層と6層に,下丘では中心核以外で強く反応が出ていた。また,聴覚野から下丘までの中間の脳領域として,視床の一部である脚周囲核と,聴覚伝導路の一部である外側毛帯の中間部に陽性細胞が観察された。 他個体の超音波発声(USV)に対するマウスの行動を観察したところ,居住者―侵入者テスト中に追いかけられている個体のUSVを提示すると,それを認識し,音源に対して接近行動をとることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで音声認知の神経メカニズムは,末梢において単純な音に反応する広範囲に分散した神経活動を,上行性聴覚伝導路が徐々に不均一化・複雑化させるといった処理で意味を符号化していると考えられてきたが,下行性投射が音声認知に与える影響については不明であった。本研究は,聴覚野から下丘への投射を調査することで,聴覚神経回路のトップダウン制御がコミュニケーション音声認知に与える影響を行動学と電気生理学の両面から検証する最初の研究であり,本成果は聴覚情報処理障害の診断や治療・予防・(リ)ハビリテーションに関する多くの研究領域に,エビデンスに基づく新たな手がかりを提供できる。
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