研究課題/領域番号 |
22K21241
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
舘林 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (00965767)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨格筋 / 食道がん / 造血幹細胞移植 / 筋力 / 筋量 / 筋質 / 生体電気インピーダンス法 / エコー / がん / 集学的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの進行は,骨格筋量を減少させることで生命予後の悪化を招く.さらに,がんの集学的治療(手術,化学療法,放射線療法)は,筋“量”の減少だけでなく,筋“質”をも悪化させるため,患者の日常生活活動やQOLは著しく低下する.それゆえ,がんリハビリテーションでは骨格筋の“量”と“質”を評価することが重要であるが,従来リハビリテーションの現場では筋力評価が主であり,量や質の評価方法は確立されていない.そこで本研究では,従来実施されている筋力測定に加え,生体インピーダンス法による体組成測定と筋エコーを併用した新たな骨格筋評価システムを確立し,がん患者の集学的治療の過程における骨格筋の変化を明らかとする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,特に侵襲性の高い集学的治療が行われる食道がん患者および造血幹細胞移植を受ける患者を対象に,従来の筋力測定に筋量や筋の質的な評価を組み合わせることで骨格筋の変化を明らかとし,新たな骨格筋評価システムの確立を図ることである. 食道がんの周術期患者では,術前と退院時を比較し,歩行速度は低下を認めた一方,握力は低下しなかった.体組成測定では骨格筋量やskeletal muscle index(SMI)は低下したが,筋の質を反映する指標である位相角(PhA)は変化がなかった.骨格筋評価の国際的なゴールデンスタンダードである腹部CT上の第3腰椎(L3)レベルから算出した大腰筋面積を身長の2乗で除した値であるpsoas muscle index(PMI)とSMIは,術前の比較において中等度の相関がみられた. 造血幹細胞移植患者では,移植前と退院時を比較した結果,握力や膝伸展筋力の低下を認めた.体組成測定では,下肢の骨格筋量やSMIは低下したが上肢の筋量は変化がなかった.エコーにおける大腿直筋,中間広筋,腓腹筋内側頭の筋厚はいずれも低下を示し,低下率は中間広筋が一番大きかった.一方,質的評価に関して,PhAは全身的に低下し,エコーでは中間広筋のみ輝度の上昇を認めた.移植前の時点において,CTによる評価と体組成やエコーによる筋量・筋質の評価指標はいずれも0.4以上の相関係数を示し,中でも体組成測定におけるSMIとPMIは高い相関(r=0.675)を認めた. 本研究の結果,食道がん周術期では筋量が低下し質は変化がなく,一方で造血幹細胞移植では量も質も低下がみられた.体組成測定における筋の量や質の指標はCTの指標と中等度以上の相関を示し,代替指標として有用であることが示唆された.また,これに筋エコーを組み合わせることで,多面的に骨格筋の量や質を評価可能であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標としていた対象者数に至るまでに時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究結果を関連学会・研究会等で発表し,最新の知見を得て今後の研究に反映させる.さらに論文作成を行い,関連学術誌へ投稿することで本研究課題を完了させる予定である.
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