研究課題/領域番号 |
22K21264
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
東本 翼 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (90964247)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳血流 / 心拍と動作リズムの同期現象 / 運動療法 / 筋ポンプ作用 / 脳活動 / 認知機能 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の根本治療の確立が難航しており、予防方法の確立が急務である。認知症発症リスクを増大する主な因子として、運動不足や脳血流の低下などがある。これらの因子を改善する方法の一つとして、習慣的な有酸素性運動の実施が推奨されている。そこで、本研究では、循環効率が向上する心拍と動作リズムの同期(CLS)現象に着目し、CLS現象が生じた運動中の脳血流と脳活動の特性を明らかにする。さらに、CLS運動の習慣的な実施による脳循環への影響を検討することで、認知機能の変化との関係性を探る。本研究は、脳循環の向上に効果的な運動様式の探索と認知症予防のための運動療法の確立を目指すうえで有益なエビデンスになると考える。
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研究実績の概要 |
認知症の根本治療の確立が難航しており、予防方法の確立が急務である。認知症発症リスクを増大する主な因子として、運動不足や脳血流の低下などがある。これらの因子を改善する方法の一つとして、習慣的な有酸素性運動の実施が推奨されている。そこで、本研究では、循環効率が向上する心拍と動作リズムの同期(CLS)現象に着目し、CLS現象が生じた運動中の脳血流と脳活動の特性を明らかにする。本研究は、CLS運動中の脳循環特性を検討し、脳血流の向上に効果的な心拍-動作リズムを選定する(課題1)。その選定したリズムを用いたCLS運動中に活動する脳部位を明らかにする(課題2)。そして、選定したリズムでCLS運動を習慣的に実施し、慢性的な脳血流・脳活動部位への影響を明らかにするとともに、認知機能との関連性を解明する(課題3)。本研究の成果は、脳循環の向上に効果的な運動様式の探索と認知症予防のための運動療法の確立を目指すうえで有益なエビデンスになると考える。 令和4年度は、研究課題1のCLS運動中の脳循環特性を検討し、脳血流の向上に効果的な心拍-動作リズムの選定を実施した。プロトコル確立のため、運動習慣のない健常な若年者を対象とした。心臓から脳に至る循環特性の違いを比較するため、心収縮期または心拡張期に動作リズムを合わせる2条件を行った。具体的に、セミリカンベント式自転車エルゴメーターを用いて、ペダルを踏み込む運動を行った。ペダリングのタイミングは心電図を記録しR波より算出したタイミングで音を鳴らし被験者に知らせた。動作は、右外側広筋の筋電位を測定し、同調を確認した。成果として、心拡張期に同期すると筋ポンプ作用が効果的に生じ、静脈還流量が増大し、その影響で一回拍出量が増大した。この循環効率の向上により、脳への拍動性血流が増大することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、研究課題1であるCLS運動中の脳循環特性を検討し、脳血流の向上に効果的な心拍-動作リズムの選定を実施した。コロナ感染症対策のため中高齢者の実験は控え、若年者を対象にCLS運動プロトコルの確立に取り組んだ。仮説通り、筋ポンプ作用が心拡張期に同期すると静脈還流量が増大し、その影響で一回拍出量が増大する、この循環効率の向上により、脳血流が増大することが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、確立したCLS運動プロトコルを用いて研究課題1と2を同時期に実施する。そして、課題3を実施する。具体的に、中高齢者を対象に、確立した運動プロトコルを用いてCLS運動中の脳循環特性の解明および特異的な脳活動部位の特定に取り組む。そして、研究課題3である、CLS運動を用いた有酸素性トレーニングが脳循環と認知機能に及ぼす影響を検討する。
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