研究課題/領域番号 |
22K21294
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1001:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2022) |
研究代表者 |
朝永 顕成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター, 研究員 (50966520)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 量子力学 / 量子コンピュータ / 超伝導量子回路 / マイクロ波量子光学 / 量子光学 / 量子ビット / 量子情報 / 超伝導 / 回路量子電磁力学 / 超強結合 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導量子回路では、その設計自由度の高さから比較的自由にエネルギー構造を設計可能な人工的な原子を作り出すことができる。この特性を生かして作られているのが超伝導量子コンピュータであるが、本研究ではこの自由度を生かし、通常の環境下では起こりえない、原子と電場が非常に強く結合した状態(超強結合)を作り出し、その効果の一つとしての、熱平衡下における真空放射を観測することを目的としている。真空に存在する疑似光子を実光子として取り出すという、量子力学的に重要な放射現象を観測するとともに、超強結合系を量子情報への応用の道につなげていきたいと考えている。
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研究成果の概要 |
超伝導回路を用いて作製した、capacitive shunted flux qubitとLC共振器をジョセフソン接合を介して結合することで、3準位原子-共振器相互作用を実現した。このスペクトルを回路モデルから解析することにより、確かに両者が超強結合領域で相互作用していることを確認した。またこのモデルを用いてシミュレーションすることにより、結合が3準位原子の中でバイアスを変化させることによって各準位との結合を変化させることができることが見られた。2量子ビットを共振器に超強結合させた系も作製し、その系において1光子による2原子同時励起の初めての実験的証拠を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超強結合系は、自然原子を用いて実現するのは非常に難しく超伝導回路による人工原子の双極子モーメントの大きさや回路故の電場密度の高さが可能にする量子電磁力学の新たなプラットフォームである。近年実験的に達成できる気運が高まっていることで様々な理論提案がされているが、実験的にそれらを確かめた例は数少なく、新しい研究分野と言える。今回超強結合が可能にする新しい物理現象の観測に取り組んだことにより、回路によってどの程度実現できるか、理論的に理想的なモデルと実験系がどの程度離れているかなど重要な知見を得たことでこの分野でさらに議論が活発化する足掛かりを作ったといえる。
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