研究課題/領域番号 |
22K21305
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 川崎医科大学 (2023) 大阪大学 (2022) |
研究代表者 |
梶山 裕太 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80792390)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | パーキンソン病 / 幻覚 / 認知機能障害 / MRI / 脳神経ネットワーク / 神経科学 / 脳機能画像 / 幻視 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症、精神疾患、神経変性疾患における幻覚は様々な知覚に働きかけ、ときに現実以上に存在感をもって患者に襲いかかる。パーキンソン病(PD)における多感覚領域にまたがる幻覚(Multi-modal hallucinations:MMH)は、ほぼ全てに幻視・錯視を伴うことから共通の病態機序が疑われるが、多知覚領域の関連を検討した先行研究は少ない。本研究の目的はMMHを伴うPD患者の脳ネットワークの特徴と、非視覚刺激が幻覚・錯覚の形成に与える影響とを、機能的MRIを用いて明らかにすることにある。MMHを形成する病態機序を明らかにすることで、幻覚に対する病的な確信を解消し、幻覚治療の端緒になると考える。
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研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)では神経変性の進行に伴い錯視・幻視を呈することが特徴だが、あたかも身体周囲に何かが存在し、触れるかのような錯感覚(Presence Hallucination)をしばしば伴う。この実体感を形成する複合感覚に視覚と体性感覚が影響すると仮説を立て、MRIを用いた脳活動を検討した。 錯視および錯感覚を呈するPD病患者 8人、および、8名中6名で下肢を中心に異常感覚ないし疼痛を認め、うち2名はモノフィラメントテストでの表在感覚閾値の低下を認めた。 また、既存のコホート研究を用いて66名の幻覚を伴うPD病患者(PDwHL)と、66人の疾患背景をマッチさせた幻覚を伴わないPD患者(PDnonHL)の臨床データを収集した。幻覚を伴う66名全てで何らかの錯視・幻視を認め、うち20名で非視覚的な錯覚・幻覚を伴った。異常感覚ないし疼痛を認めたのはPDwHLでは28名、PDnonHLでは13名であり、錯感覚形成と表在覚異常との関連が疑われた。MRI解析では、先行研究(Kajiyama et.al. 2021)で認めた前頭-側頭ネットワークを中心に解析を行ったところ、PDnonHLと比較して、PDwHLで優位な機能的脳結合の低下を認め、特に非視覚的な錯覚・幻覚を伴う20名でより顕著な低下を認めた。この結果から、幻視・錯視と錯感覚に共通する基盤の可能性が示唆された。本研究の成果は、PDにおける体性感覚と視覚の病的統合異常の新たな視点を提供し、幻覚を誘発あるいは緩和させる手法の開発に寄与すると考える。
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