研究課題/領域番号 |
22K21310
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
武田 健太郎 香川大学, 創造工学部, 助教 (10964174)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 人工内耳 / 非線形回路 / FPGA |
研究開始時の研究の概要 |
人工内耳は聴覚系に障がいを抱える人々の聴覚を補助する人工感覚器の一つである。ヒトの聴覚系は強い非線形性を呈することが知られているが、現行の人工内耳は線形システムに基づいており、十分な性能を有しているとは言えない。そこで本研究では、聴覚系の非線形特性を再現する人工内耳のための自己適応的な小型・低消費電力サウンドプロセッサの開発に取り組む。そして、人工内耳の低消費電力化による使用時間の向上や小型化や聴覚系の本質的な特性を模倣した人工内耳による“聴こえ”の改善などを目指す。
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研究実績の概要 |
人工内耳は聴覚系に障がいを抱える人々の聴覚を補助する人工感覚器の一つである。ヒトの聴覚系は強い非線形性を呈することが知られているが、現行の人工内耳は線形システムに基づいており、十分な性能を有しているとは言えない。そこで本研究では、聴覚系の非線形特性を再現する人工内耳のための自己適応的な小型・低消費電力サウンドプロセッサの設計と実装及び実機実験を行う。本研究は、既存手法との比較を通して提案人工内耳モデルが消費電力や回路実装の観点で優れていることを示すことを目的とし、より効率の良い人工内耳回路の開発へ向けた基礎研究と位置づけられる。 2022年度では、主にエルゴード的セルオートマトンで実装される内耳モデルが呈する結合音現象に関する研究に取り組んだ。結合音現象とは異なる周波数成分を有する二音を聴取すると、それらの周波数成分の和の音や差の音を知覚する非線形現象のことである。当該年度では、(1)内耳で起こることが知られている結合音現象についての知見の収集、(2)結合音現象を呈するエルゴード的セルオートマトン内耳モデルの設計と数値シミュレーション、(3)設計されたモデルの解析やパラメータ推定、(4)設計されたモデルの回路実装と回路実験、(5)回路実装されたモデルと従来モデルとの比較、を実施することができた。さらに、これらの結果を基に二音抑制現象を呈する内耳モデルの設計の検討を開始することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、結合音現象を呈するエルゴード的セルオートマトン内耳モデルを提案し、提案内耳モデルが従来の内耳モデルに比べて高効率にハードウェア実装できることを示すことができた。また、これらの成果を国際会議及び国内研究会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2022年度の研究結果から得られた知見を基に、エルゴード的セルオートマトンで実装される内耳モデルが呈する二音抑制現象に関する研究に取り組む。二音抑制現象とは、異なる周波数成分を有する二音を聴取すると、片方の周波数成分の音に対する聴取レベルが抑制される非線形現象のことである。この現象を再現することが出来る内耳モデルの設計に取り組み、従来の内耳モデルとの比較を行う。その後得られた結果をまとめ、学会発表または学術論文誌へ投稿する。また可能であれば、エルゴード的セルオートマトン内耳モデルを結合することによって大規模な内耳モデルへの拡張を検討する。
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