研究課題/領域番号 |
22K21335
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
阿部 有希子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 博士研究員 (50966041)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 下層土壌 / 火山灰土壌 / 土壌有機物 / 微生物呼吸 / 放射性炭素 / プライミング効果 / 炭素同位体 / 炭素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、森林土壌の炭素循環に対する下層土壌の寄与がこれまで考えられてきたよりも大きい可能性が指摘されているが、その実態は不明である。本研究では、有機物の存在状態や分解特性が異なると考えられる火山灰と非火山灰を母材とする森林土壌を用いて、表層から下層までの土壌有機物の分解特性を定量把握する。特に下層土壌における有機物分解特性と土壌要因・有機物要因との関連性を探究し、森林土壌における炭素放出・蓄積メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、森林土壌からの炭素放出メカニズムの解明に向けて、微生物呼吸に対する下層土壌の寄与割合や下層土壌における有機物の分解過程を明らかにすることを目的とした。最終年度である令和5年度は下層土壌への新たな有機物供給に対する分解応答を評価した。母材の異なる土壌では有機物の存在状態や分解特性が異なり、微生物呼吸を規定する要因が異なることが想定されるため、本研究では火山灰土壌と非火山灰土壌の表層0-10cmと下層40-60cmを対象とした。土壌の水分量を調整した後、水または13Cラベルされたスクロース溶液を添加し、20℃と30℃で培養した。火山灰土壌ではスクロースの添加によっていずれの温度においても下層土壌で有意に分解が促進されたが、非火山灰土壌では添加による影響は小さかった。一方で、火山灰土壌では添加したスクロース由来の炭素の半分程度が土壌中に残留している可能性が示唆された。 本研究期間を通じて、土壌タイプによらず、森林の下層土壌から無視できない量の二酸化炭素が放出されていることを明らかにした。また、放出された二酸化炭素の放射性炭素(14C)同位体比の分析により、1960年代以降に固定された有機物が下層土壌において分解されていることがわかった。さらに、火山灰土壌の下層では新たな有機物供給に伴い、これまで土壌中に蓄積されていた有機物の分解が促進されるが、供給された有機物の一部は分解されずに土壌中に蓄積される可能性が示唆された。このメカニズムの詳細や下層土壌における炭素収支に関してはさらに調査していく必要がある。 これまでに得られた成果の一部は日本森林学会で発表し、学術論文として投稿準備中である。残りの成果に関しても論文公表に向けて準備を進める。
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