研究課題/領域番号 |
22K21362
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
廣畑 貴文 東北大学, 先端スピントロニクス研究開発センター, 教授 (20415277)
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研究期間 (年度) |
2023-03-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
61,360千円 (直接経費: 47,200千円、間接経費: 14,160千円)
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キーワード | スピントロニクス / スキルミオン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案では、細線内に電流密度・抵抗分布を形成する材料を開発することで磁気スキルミオンを閉じ込め、メモリと論理回路を複合した素子を作製し他の物理量への高効率変換を検証することを目指す。具体的には、数値計算を用いた磁気スキルミオン媒体としての細線中の電流密度・抵抗分布の最適化を元に、強磁性合金の局所的な規則化とイオン注入による不規則化を組み合わせて、細線端でのスキルミオン消失を防ぐ系を作製する。室温でTbit/in2超の記録密度を有するスキルミオンの極性を用いた多値メモリ・論理複合素子を実現し、電磁場・熱勾配・位相への高効率な変換を実証することで、パラダイムシフトを起こす。
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研究実績の概要 |
英国ヨーク大学から装置移設の手配を進めた。11月末に訪英し3業者(英オックスフォードインストゥルメンツ社、独イオントフ社、日エイコー社)と装置の梱包を進める計画であったが、ヨーク大学から作業開始日に急遽500万ポンドの対人・対物保険に加入しなければ作業できないと言われ、作業を中断する羽目になった。このような保険は英国の企業にのみ適用されるものであり、英オックスフォードインストゥルメンツ社については本社から書類提供を受けて半日程度の遅れで作業が完了した。しかしながら日エイコー社に関しては、日本出国後の旅行保険の変更ができないこと、現地の保険会社は英国に本拠地がない企業の保険を引き受けてもらえないことから、作業を切り上げて帰国してもらうことになった。現在日本の保険会社に特注で設定をお願いしている状況である(先方からはこのような保険を求められたことは前例がないとのことで、特別に保険を今回の作業に限って作成する必要があり、100万円程度の保険料となる可能性があるとのこと)。また独イオントフ社は翌週の作業予定を変更し、同国内で別途保険に加入してもらい1月中旬に作業を行ってもらった。 以上の変更に伴い追加経費が必要となり現在ヨーク大学への請求の可能性を模索している。上述の保険に関してはヨーク大学在籍中に周知されておらず、また元同僚達も知らないとのことであり、極めて不公平なものと考えている。さらに一部の備品なども紛失しており、ヨーク大学に回復を依頼しているが回答が得られていない状況で、装置移設を妨害していると見なされても仕方がない状況である。従って、当初は年度内の移設の予定であったが大幅にずれ込み、試料作製・測定が2024年度にも難しいことから、現在大阪大学などに試料作製を依頼できるか交渉中で、測定装置に関しても本学ナノスピン実験施設から予備のものを借り受けて実験準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
英国ヨーク大学から装置移設を差し止められているため。2024年夏までには大阪大学からの試料と本学名のスピン実験施設からの予備装置の立ち上げができるよう努めており、計画からの遅れを最小限に収められるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り装置移設を英国ヨーク大学により差し止められている。対人・対物保険に関しては東京海上日動火災保険にて引き受けてもらえることになりそうであり、2024年5月末に業者による装置梱包がはじめられると見込んでいる。その後できるだけ早い時期に日本通運により移送を手配し、10月末までの装置移設・立ち上げを目指している。これは当初の計画から10ヶ月以上の遅れとなるため、並行して大阪大学の共同研究者に試料作製を依頼しており、本研究提案の目標である電流印加による結晶化と磁気スキルミオンの閉じ込めの実証を目指す予定である。
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