研究課題/領域番号 |
22KF0013
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補助金の研究課題番号 |
22F22757 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
永田 晴紀 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40281787)
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研究分担者 |
GALLO GIUSEPPE 北海道大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2024年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ハイブリッドロケット / ノズル浸食 / 再生冷却 / Hybrid rocket / Nozzle erosion / Regenerative cooling |
研究開始時の研究の概要 |
ハイブリッドロケットのノズル材料にはグラファイトが用いられるのが一般的である。グラファイトは耐熱性に優れるが、燃焼ガスに含まれる水蒸気や二酸化炭素等の酸化成分との化学反応により浸食される「ノズル浸食」が課題となっている。過去の研究により、ノズル壁面温度が約1500 Kを下回れば、ノズル浸食がほとんど起こらないことを確認した。これを利用して、液体酸化剤を冷却剤とした再生冷却によりノズル浸食を抑制する技術を開発する。
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研究実績の概要 |
液体亜酸化窒素を酸化剤とするハイブリッドロケットエンジンにおける再生冷却システムの信頼性と実現可能性を実験的に調べた。昨年度は極低温の液体酸素を用いて再生冷却ノズルの良好な作動を実験的に実証したが、その結果を更に発展させたものである。本年度の研究の新規性は、ロケットノズルで発生する高い熱流束を適切に管理するための冷却剤として、自身の蒸気圧により加圧供給される液体亜酸化窒素を使用することにある。具体的には、燃焼中にグラファイトノズルを目標温度(1500 K程度)以下に保つことにより、ノズル壁面での浸食を完全に抑止することを目指す。 実験においては、直径が異なるオリフィスを通過させることで液体亜酸化窒素にキャビテーションを発生させることで質量流量を適切に制御し、10回の燃焼試験を実施した。燃焼中に、酸化剤流路の複数個所で冷却剤(亜酸化窒素)の圧力と温度の履歴を取得した。グラファイトノズルに埋め込んだ熱電対により、ノズル壁面からグラファイトノズルへの熱流束の履歴も取得した。 燃焼実験においてグラファイトノズル内部の温度は安定しており、燃焼室圧力が5~30 barの範囲において700~1200 Kの範囲内であった。円筒一次元の定常熱伝導を仮定すると、ノズル壁面の温度は1500 Kを充分に下回っていると予想された。実験条件は過去の研究においてはノズル浸食が発生した条件であるが、全ての実験においてノズル浸食は全く観測されなかった。 キャビテーションオリフィスと冷却流路に沿って温度と圧力の分布を取得し、流路に沿って亜酸化窒素の相変化と熱伝達特性の変化の関係を明らかにした。液体酸素と比較して液体亜酸化窒素は高い冷却能力を示した。最後に、キャビテーションオリフィスの位置がシステム全体の流量特性に及ぼす影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
亜酸化窒素を冷却剤とするグラファイトノズル再生冷却がシステムとして成立することを実験的に示した。亜酸化窒素を用いた再令冷却は前例が無く、再生冷却によりハイブリッドロケットのノズル浸食を抑止する事に成功したのも我々のグループが世界で初めてである。本成果を特許出願し、学術論文にも投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
亜酸化窒素を酸化剤に用いたシステムに関しては研究目標を達成したと考えている。残りの研究期間で、酸化剤を過酸化水素水とした場合の燃焼特性および酸化剤冷却特性について、過酸化水素水濃度への依存性を中心に解明する研究テーマを新たに立ち上げるところまでを実施したい。
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