研究課題/領域番号 |
22KF0019
|
補助金の研究課題番号 |
22F22402 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
|
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80301802)
|
研究分担者 |
GUSWANTO 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
GUSWANTO 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2024年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | バベシア病 / 治療薬 / 海洋生物 / インドネシア / 候補化合物ライブラリー / 試験管内培養 / 薬効スクリーニング評価系 / 原虫 |
研究開始時の研究の概要 |
家畜のバベシア病は世界中で大きな経済的損失を引き起こしており、またヒトのバベシア病は新たな新興感染症としてその流行が危惧されている。しかしながら、本原虫病に対する"効果的で、低コストで、低毒性の治療薬"は未だ存在していない。本研究では、動物及びヒトのバベシア病の治療薬を開発する目的で、抗バベシア作用を有する海洋生物由来化合物のスクリーニング、ヒット化合物の選択性指標の決定、候補化合物のマウスを用いた毒性評価、マウス感染モデルを用いた抗バベシア病に対する治療薬効果の評価を行い、バベシア病に対する新規治療薬候補の学術的な提案を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インドネシア産海洋生物由来の生理活性物質ライブラリーから、動物やヒトのバベシア病に有効的で、低毒性で、かつ安価な治療薬を探索していくことである。
具体的には、1)抗バベシア作用を有する海洋生物由来化合物のスクリーニング、2)ヒット化合物の選択性指標の決定、3)候補化合物のマウスを用いた毒性評価、4)マウス感染モデルを用いた抗バベシア病に対する治療薬効果の評価を行い、動物およびヒトのバベシア病に対する新規治療薬候補の学術的な提案を行う。進捗に応じて、5)治療薬候補による抗バベシア作用メカニズムの解明や、6)血液薄層塗抹標本の画像からバベシアを自動検出できる新規機械学習手法の開発も試みる。
令和4年度では、インドネシア産の各種海洋生物に含まれる生理活性化合物の抽出・単離を行い、治療薬効果を評価するための候補化合物一次ライブラリーを試作した。その後、SYBR Green I を用いた標的原虫種(馬バベシアと馬タイレリア)の試験管内培養評価系を立ち上げ、各種候補化合物に対する薬効スクリーニング評価系の条件検討を開始した。現在も、候補化合物ライブラリーの更なる構築と試験管内培養による薬効スクリーニング評価系の規格整備を継続している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドネシア産の各種海洋生物に含まれる生理活性化合物の抽出・単離を行い、治療薬効果を評価するための候補化合物一次ライブラリーを試作できたこと、またSYBR Green I を用いた標的原虫種(馬バベシアと馬タイレリア)の試験管内培養評価系の立ち上げに成功したから、本研究課題はおおむね順調に進捗していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究は以下の通りに推進する。
令和5年度は、インドネシア産の各種海洋生物に含まれる生理活性化合物の抽出・単離を継続し、治療薬効果を評価するための更なる候補化合物ライブラリーを準備する。その後、SYBR Green I を用いた標的原虫種(牛バベシア、犬バベシア、馬バベシアなど)の試験管内培養評価系を立ち上げ、各種候補化合物に対する薬効スクリーニング評価を開始する。特に、最終濃度1μMで初期スクリーニングを行い、標的原虫種の試験管内増殖を50%以上阻害するものをヒット化合物として分類する。段階希釈したヒット化合物に対する各種標的原虫種の増殖抑制効果を再評価し、それぞれの50%阻害濃度(IC50)を算出する。有望なヒット化合物は、関連する宿主動物由来の培養細胞株に対する試験管内毒性効果試験を実施し、副作用の指標となる細胞毒性濃度(CC50)を決定する。得られたIC50とCC50の値から各ヒット化合物の選択性指数(SI)を算出し、SI > 10の化合物はマウスを用いた動物毒性評価試験で評価する。高い安全性を示した化合物はヒトバベシアを用いたマウス感染実験評価系にて動物でのバベシア病に対する治療効果を評価する。得られた知見を取りまとめ、学会発表を行った後、直ちに国際科学雑誌に投稿・公表する。
令和6年度では、治療薬候補の作用メカニズムを解明するために、酵素評価法や遺伝子発現評価法などの分子生物学的実験を行う。その化合物構造が明らかになった場合は、分子ドッキング解析を行い創薬標的の同定を行う。また、薬剤スクリーニングのためのコンピュータ支援診断として、機械学習を用いた新しいAIアプローチも検証する。得られた知見を取りまとめ、学会発表を行った後、直ちに国際科学雑誌に投稿・公表する。
|