研究課題/領域番号 |
22KF0073
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補助金の研究課題番号 |
21F21775 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
WILLOX Ralph 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (20361610)
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研究分担者 |
STOKES ALEXANDER 東京大学, 大学院数理科学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
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キーワード | 遅延型微分方程式 / 関数方程式 / 非線形変差分方程式 / 離散可積分系 / エントロピー / 特異点 |
研究開始時の研究の概要 |
「特異点」 というものは19世紀以来の物理学と数学の研究においてもっとも大きな役割を果たしてきた数学的概念である. 近年, 自然現象 を記述する微分方程式の特異点の構造に基づき, その物理的現象の分析を行うことが可能となる方程式が増えてきたものの, 数理モデルによ く用いられる 「遅延型微分方程式」 の特異点構造についてはほとんどわかっておらず, そういった方程式の特異点と解との関係はまだ知られ ていない. 本研究では, 遅延型微分方程式の特異点構造を解析するために新しい幾何学的理論を開発すること, 及びその幾何学的理論に基づき, 遅延型 微分方程式の解の特徴を研究することが主な目的である.
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研究実績の概要 |
「特異点」 というものは19世紀以来の物理学と数学の研究においてもっとも大きな役割を果たしてきた数学的概念である. 近年, 自然現象を記述する微分方程式の特異点の構造に基づき,その物理的現象の分析を厳密に行うことが可能となる方程式が増えてきたものの, 数理モデルによく用いられる「遅延型微分方程式」の特異点構造についてはほとんどわかっておらず, そういった方程式の特異点と解との関係はまだ知られていない.本研究では,遅延型微分方程式の特異点構造を解析するために新しい幾何学的理論を開発すること,及びその幾何学的理論に基づき, 遅延型微分方程式の解の特徴を研究することが主な目的である. また,一世紀間以上の研究のおかげで,常微分方程式や偏微分方程式, 並びに常差分方程式などの多くの数理モデルに対しては,モデルの「可積分性」がその方程式の特異点の性質に基づいて定義されるようになったものの,非線形偏差分方程式やそれと密接な関係にある関数方程式や遅延方微分方程式などに対しては,そのタイプの方程式における可積分性の決定的な特徴は未だに知られていない. 遅延型微分方程式などにも適用できる忠実な可積分性指標の開発はもう一つの重要な目的である. 前者の研究目的については,初年度の2021年度には,A.Stokesが2020年に遅延型常微分方程式の特異点構造を解析するために提唱した数学的手法を用いて,いくつかの方程式の解析を開始し,方程式の一般解の複雑性を測る数学的指標を考案し始めた.また,後者の目標に関しては,2次元の写像の可積分性を判定するために導入された数学的道具の高次元の写像への拡張を研究し始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には, 2021年度の研究の続きで「特異点閉じ込めによるfull-deautonomisation手法」について研究を行った.この手法は写像の代数的エントロピーの計算に用いられる手法のうち一番期待を持たせるものであり,この手法を高次元の写像または変差分方程式などへの拡張する予定である.そのため,まず2次元の写像の場合には,Alexander Stokesと同研究科のTakafumi Maseとの共同研究でfull-deautonomisation手法の代数幾何学的な根拠を明らかにし,その手法の正当性を双有理写像の割と広いクラスの場合に厳密に示すことができた.これは離散可積分系という研究分野に大きな影響を与える結果であると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には主に下記のテーマについて研究を行う予定である.
1. 非線形偏差分方程式やそれと関連する関数方程式に適用できる可積分性判定法の開発に向けて,まず偏差分方程式の簡約で得られる高次元の双有理写像の可積分性判定法を考察する予定である.そう言った判定法のうち,研究代表者が数年前に提唱した「full-deautonomisation手法」が一つの特に期待できる判定法である.その方法の妥当性を測るため,簡約で適切な高次元の双有理写像を生成し,それらの写像の特異点構造及びfull-deautonomisationを考察する予定である.
2. A. Stokesが2020年に提唱した方法によって遅延型パンルヴェ方程式の特異点構造を調べることが可能となったものの,遅延型パンルヴェ方程式に適用できる代数的エントロピーのような可積分性の判定指標はまだ知られていない.そこで,まず,遅延型パンルヴェ方程式に対し,方程式の特異点構造に基づいて計算できる指標を考案し,その指標を偏差分方程式の簡約などで得られる常差分方程式の代数的エントロピーと関係づける.
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