研究課題/領域番号 |
22KF0108
|
補助金の研究課題番号 |
22F22318 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉原 加織 (2023) 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60740800)
|
研究分担者 |
DAS BRATATI 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
|
受入研究者 |
杉原 加織 (2022) 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (60740800)
|
外国人特別研究員 |
DAS BRATATI 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2024年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | メカノクロミックポリマー / 摩擦力顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / ポリジアセチレン |
研究開始時の研究の概要 |
The goal of the project is to develop a highly sensitive nano-force sensor to quantitatively detect and visualize friction forces between prosthetics and residual limbs, using the force-sensing mechanism of a mechanochromic polymer, polydiacetylene.
|
研究実績の概要 |
ゲスト分子を導入した二次元(2D)ポリジアセチレン(PDA)層状複合材料は、エネルギー関連や医療用途のメカノクロミック力センサーの開発に向けて、力感度コントロール可能な優れたメカノクロミック特性を示してきた。しかしながら、2次元膜に異なる方向の力を簡便に印加する技術がないため、ナノスケールでの力感受性は未解明のままであり、感度調整メカニズムの定量的理解が制限されている。本研究では、ゲスト有機アミンを含むPDA層状複合材料のナノスケールでの力感受性を測定するために、蛍光顕微鏡と組み合わせた定量的摩擦力顕微鏡法を導入した。ノニルアミン(C9)と1-アミノデカン(C10)を介在させると、10,12-ペンタコサジエン酸(PCDA)の感度がそれぞれ127%と111%増加し、n-トリデシルアミン(C13)とステアリルアミン(C18)を加えると、感度が77%と86%減少した。これらのナノスケールの力感受性は、サーモクロミック温度およびフィルムのヤング率と逆相関があり、より軟らかいフィルムは力感受性と熱感受性の両方が高いことが示唆された。本研究の結果はAdv Mater Interfaces 2024, 11 (2)に発表された。
以上が本研究の主な結果であるが、それ以外にも水中でポリジアセチレンがどのように力に関する感度を変化させるかなど、物性の基礎実験を多数行い、業績欄に示すような論文を出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、力を印加すると色が変わるメカノクロミックポリマーの基礎研究と、それを応用したアプリケーション開発を行う。申請書に記載した基礎研究のパート、実験1は終了した。申請書では、応用例として、義足と義肢の間の摩擦を可視化する包帯を開発するとしたが、基礎研究を行なっているうちに、もっとポリマーの特性によく合った応用の方向性があるのではないかという考えが湧いてきた。その中でも、衝撃の箇所を可視化するパッケージに興味をもち、応用開発をそれに変更した。順調にメカノクロミック包装紙を開発している最中に、外国人研究員のダスさんが妊娠し、本国に帰国し出産することとなったため、一旦プロジェクトを休止した。彼女は5月に出産し、2025年1月に復帰する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
より健康で安全な社会のために、医薬品の廃棄や食品の腐敗を抑制するスマートでインテリジェントな包装システムが必要とされている。廃棄の主な原因の一つは、衝撃や摩擦力による不適切な取り扱いである。市場に出回っている従来の装置では、どこにどれだけの力が加わっているかを測定する空間分解能がないため、機械的な信号を可視化して検出することが困難で合った。しかし、ゲスト分子を添加した2次元ポリジアセチレン(PDA)層状複合材料、すなわちPCDA-C9を使用することにより、力感度を制御可能なメカノクロミック特性を実証し、カメレオンに着想を得たメカノクロミック安全包装システムを開発することを思いついた。摩擦力顕微鏡と蛍光顕微鏡を組み合わせたユニークなセットアップを用いて、基板に依存する摩擦力応答を初めてナノスケールで調べ、30~100nNの力範囲における赤色強度に対する力応答を明らかにする。このカリブレーションスケールを用いて、PCDA-C9層複合コーティングパッケージのランダムスクラッチにより検出される力応答の範囲を決定する。将来的には、カリブレーション情報をモバイルアプリに保存できるようにし、出荷時のランダムスクラッチのスキャンを定量判定できるようにする。さらに、設計された包装装置は、食品、医療品、または様々な貴重品の安全な配送に適用することができる。
|