• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

農業発展における価格要因と価格外要因:インドとベトナムの比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 22KF0145
補助金の研究課題番号 22F22312 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分外国
審査区分 小区分07040:経済政策関連
研究機関一橋大学

研究代表者

黒崎 卓  一橋大学, 経済研究所, 教授 (90293159)

研究分担者 KARAYAMPARAMBIL DEEPAK  一橋大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2024年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
キーワード農業生産性 / 価格政策 / 灌漑 / 稲作 / インド / ベトナム
研究開始時の研究の概要

多くの開発途上国において、農業部門は雇用の中心となっており、GDPに占める比率も高い。しかし途上国の農業部門は、先進国に比べて生産性が低く、それが経済成長の低迷や貧困の蔓延につながっている。本研究では、途上国農業の生産性を引き上げて農業従事者の所得を向上させるための政策として、生産者価格支持などの価格要因と、灌漑などの公共投資などの価格外要因に着目する。それぞれが功を奏するのはどのような条件下においてなのか、両者の間の関係はどうなっているのかについて、インドとベトナムの稲作農業の比較分析を、それぞれの稲作先進地域に焦点を当てて実施する。

研究実績の概要

多くの開発途上国経済を支える農業部門とそれが位置する農村部は、生産性の低さと、成長の低迷や貧困の蔓延の問題を抱えている。ベトナムとインドも例外ではない。本研究は、農業生産性向上のために効果的な政策として、生産者価格支持などの価格要因と、灌漑などの公共投資などの価格外要因に着目し、それぞれが功を奏するのはどのような条件下においてなのか、両者の間の関係はどうなっているのかについて、インドとベトナムの稲作農業の比較分析を、それぞれの稲作先進地域に焦点を当てて行う。プロジェクト第2年目の2023年度には、研究分担者が2021年までに実施したインド・ケーララ州のAdat地区およびベトナム・メコンデルタDinh Thanh地区の稲作農家調査のミクロデータに、誘発的技術革新の理論と農家主体均衡論のシミュレーション分析枠組みを適用した分析結果をワーキングペーパーとして取りまとめ、査読付き英文ジャーナルに投稿した。2023年度中には採択に至らなかったが修正要望を受けて改訂稿を作成し、再投稿済みである。両国のそれぞれの事例について、追加調査を行うことの意義とそのロジスティック調整のために、2023年8月にベトナムに出張し、メコンデルタのDinh Thanh地区の稲作視察と、Can Tho大学やRMIT大学の関係者との意見交換を行った。また、2つの事例研究を、代表性を持つ全国標本調査と比較させてその位置づけを明確にするために、ベトナムの家計調査VHLSSの個票データの整理をベトナムの研究者に委託し、そこから得たデータベースの解析を行うとともに、インドの家計調査NSSの農民経済状況特別調査の個票データを分析し、その結果をワーキングペーパーにまとめた。後者のワーキングペーパーは、日本南アジア学会にて研究分担者が報告し、世界中から集まった研究者から本研究に対する多くのコメントを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究分担者が2021年までに実施したインド・ケーララ州のAdat地区およびベトナム・メコンデルタDinh Thanh地区の稲作農家調査のミクロデータを分析した結果を、ワーキングペーパーとして取りまとめ、査読付き英文ジャーナルに投稿した。まだ刊行には至っていないが、改訂要望を受けており、その可能性は高いと思われる。他方、追加調査を行うことの意義とそのロジスティック調整はインドに関して順調に進展し、ベトナムについても研究代表者と分担者が現地調査を行ったことにより、顕著な進展を見せた。ただし具体的な調査設計とそのコストをどう捻出するかの課題がまだ残っている。2つの事例研究を、代表性を持つ全国標本調査と比較させてその位置づけを明確にする作業は、進展が特に順調である。インドのNSSの個票データ分析結果はすでにワーキングペーパーとなっている。

今後の研究の推進方策

プロジェクト最終年度となる2024年度には、研究総括に特に力を入れる。研究分担者が2021年までに実施したインド・ケーララ州のAdat地区およびベトナム・メコンデルタDinh Thanh地区の稲作農家調査のミクロデータを分析したワーキングペーパーを査読付き英文ジャーナルに刊行すべく改訂作業を続ける。ベトナムとインドそれぞれの代表性のある全国標本調査データの分析がかなり進展しているため、これを新たなワーキングペーパーに取りまとめる。分析結果は、価格要因・価格外要因の農業生産性・農家所得へのインパクトおよびそのメカニズムに関して整理したものとなる。また、インド・ケーララ州のAdat地区の再調査、および研究成果について在インド研究者との意見交換を行うために、研究代表者と研究分担者がインドに出張する。国際農業経済学会の大会が首都のニューデリーで2024年8月に開かれるため、その大会でも関連論文を報告し、国際的な研究者ネットワークと研究成果を共有する。これらの論文は、その他の内外の学会(開発経済学会、日本経済学会、NEUDC会議、ISID会議など)でも報告して改訂作業を進め、業者による英文校閲にかけた上で、Journal of Development Economicsなど上位ジャーナルに投稿する。また、分析結果の持つ政策含意をポリシーブリーフという形で取りまとめ、国際協力機構(JICA)や世界銀行等に情報提供する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] "What is the Contribution of Government Support to Farm Incomes? A Case Study of Rice Cultivation from Kerala, India"2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson
    • 雑誌名

      Review of Agrarian Studies

      巻: Vol.13, No.1 ページ: 42-60

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] “Price Support and Farm Incomes: Comparative Study of Rice Growing Regions in Southern India and Mekong-Delta Vietnam”2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson and Takashi Kurosaki
    • 雑誌名

      IER Discussion Paper Series No. A 741, Institute of Economic Research, Hitotsubashi University

      巻: A741 ページ: 1-39

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] “International Organisations and Agriculture: A Current Perspective”2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson
    • 雑誌名

      Economic and Political Weekly

      巻: vol. 58, no. 33 ページ: 34-36

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] “Agriculture and Budgets in India”2024

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson
    • 学会等名
      Moderator for the online seminar by Foundation for Agrarian Studies
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] “Slow Down in Progress: An Analysis of Agricultural Household Incomes in India”2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson and Takashi Kurosaki
    • 学会等名
      36th Annual Conference of the Japanese Association for South Asian Studies
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Price Support and Farm Incomes: Comparative Study of Rice Growing Regions in Southern India and Mekong-Delta Vietnam2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson and Takashi Kurosaki
    • 学会等名
      11th Conference of The Asian Society of Agricultural Economists (ASAE)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Price Support and Farm Incomes: Comparative Study of Rice Growing Regions in Southern India and Mekong-Delta Vietnam2023

    • 著者名/発表者名
      Deepak Johnson and Takashi Kurosaki
    • 学会等名
      兼松セミナー
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [図書] 『次世代の実証経済学』2023

    • 著者名/発表者名
      大塚啓二郎・黒崎卓・澤田康幸・園部哲史編著
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      9784535540507
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-11-17   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi